めくりめくる、日めくり ー 赤木美名子

 

第一志望の高校には行けなかった。

 

通い始めた高校は
授業に茶道がある生粋の女子校。
おかっぱ頭を強いられ、
月に一度、一列に並ばされ頭髪下着検査。
今でいうところのブラック校則。
ファッション好き、
ヘアマニキュアショートカットのわたしは
頭髪検査の日は学校へ行かなかった。

 

入学当日に配られた日めくり。
反骨精神旺盛すぎて、
持ち帰って深い引き出しの
ずっとずっと奥にしまった。
けれど、教室の黒板横に掛けられている
日めくりからは逃げられない。
朝礼では毎朝クラス全員で唱和する。

 

1か月に1回巡ってくる言葉を
声に出して読んでいるうちに
化学反応が起きたのだろうか。
進学で東京へ引っ越す日、
しまっていた日めくりを手持ちして
部屋に掛けた。

 

紙でできている日めくりは
湿気を吸ったり吐いたりしながら
文化服装学院へ通っている間も
パタンナーとして社会人になってからも
娘が生まれてもずっと一緒に呼吸し、
わたしは無声唱和。

 

15日
あたえられた仕事は50センチ向うまで

この言葉に宿る美意識が
フリーランスの自分を
ここまで育ててくれたと思っている。

 

29日
「アイロンスイッチ」
「アイロンスイッチ」
これ忘れたら大火事だ

通勤前にアイロン。
そんな日に限って
電車の中でこの言葉を思い出し
家まで戻ってしまい、遅刻もした。

 

めくりめくる数と比例し
堂々と黄ばんだ日めくりは
すっかり生き方の
指針となっている「日々のおしえ」。

 

23日は
無駄なおしゃべり禍のもと

 

第一志望の高校に行けなかったことで
得られたものは大きい。
毎月23日にはドキッとできるのだから。

 

 


「lineaとむすひ」web

 


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