ついに終わった ー 大場 綾

 

冬が。
(冬が)全力でやりきった感がある。

 

そしてついに春が来た。
スーパーの野菜コーナーが
あれよあれよと春で塗りつぶされて行く。
グリーンピースも満を持して並んでいる。
私は豆が好物で、
中でも春のグリーンピースには
何か少し理性が飛ぶ。
目にするとあわてて買ってしまう。

 

グリーンピースを
好きじゃない人は結構いる。
匂いが、とか。食感が、とか。
そういう人は私と食事するときは
一粒残らず私の皿に入れればよい。
ついでにマクドナルドの
バーガーのピクルス、
あれを嫌いな人も多い。
つまみ出して私のバーガーに挟めばよい。
とはいえマクドナルドに行かなくなって
だいぶたつ。
10年はたつ。

 

グリーンピースの話だった。
嫌いな人も一度は
さやのままのを買ってきて
さやを開くとみっしりと
充填されたプリプリの豆、
それを塩小さじ一杯ほどを溶かして
グラグラに沸かした鍋の湯に
ザラザラと投入して中火で数分、
先ほどの翡翠色も
やさしくうつくしかったが
茹でられて鮮やかなビリジアンに
変身した頃合いを見計らって
網で一気に引き上げたら、
一粒アッチッチーと口に
放り込んでみてほしい。
私はこれをするとあっという間に
食べつくしてしまう。

 

たまさかなくならなかったときは
そのまま置いておくとたちどころに
皮がしぼんでしわくちゃになる。
けれど中にいくつか、
プリプリを維持する豆もある。
同じさやで育ち、
同じ条件で茹でた豆さえも、
このように違う。
まして人間は。

 

数日前に読み終わって
とてもとてもとても面白かった
ナイジェリアの小説
「ぼくらが漁師だったころ」
(チゴズィエ・オビオマ著)、
同じ家に生まれ同じように育てられた
4人のきょうだい、
しかしあまりにも異なる内面。
豆をつまみながら
その物語を思い出す春の宵。

 

今回は大脱線。
春が来た嬉しさということで、ご容赦を。

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」
「cyan」ブログ

 


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