兼業農家のすゝめ ー 赤木美名子

 

種の売り場に行くと
この野菜はどんな背格好で
どんな花を咲かせるのだろうと
想いをめぐらしているうちに
あれもこれも買わずにはいられない
癖がでてきて、せっせせっせと
撒いてしまう。

 

撒いてしまった責任上、どんなに暑くても、
日焼けしそうでも田んぼや畑に向かい、
水遣りして、重い草刈り機背負って
草と格闘。
山暮らしの宿命である
野生動物と知恵くらべまで。
天候にふりまわされ、予期せぬ野良仕事で
深夜に本業のパターンを
ひくこともしばしば。
寝不足でイライラする私に

「買ったほうが効率いいね」

という夫の一撃。

 

どんなときでも命あるものは最優先。
雪解けから降雪まで、
家族3人で一喜一憂するのです。
そして、3人が食べるよりも
はるかに多い収穫をして
またせっせせっせと飯炊きをする。
それでもまだあるのだから
みんなに食べてもらおうと
半ば押しつけで発送する。

 

そんなことを続けていると
全国各地から頻繁に小包が届くようになる。
開けてびっくり、玉手箱ならぬ宝箱。
高級枇杷、極上ベーコン、
マスカット&ピオーネ
もつ鍋セット、鰻、蟹。
娘の洋服や靴。
農家の嫁には必需品の
ヘアートリートメントやハンドクリーム。

 

兼業農家になって3年。
世帯収入は半分くらいに減ったけれど
幸福度は高い。
日本の主食の米を自給できるという誇りと
家族で1つのことに
夢中になれる時間があること。
わくわくする小包が届くというおまけつき。

 

頭上には満開の桜、足元にはカタクリ。
米づくりの準備もはじまり、
夫に隠れて暦を見ては
一粒万倍日にせっせせっせと撒くのです。

 


東京ではお目にかかれなかったカタクリ。
今では、春先の旬の食材として料理する
ことも

 


「lineaとむすひ」web

 


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