本屋さんでのあるある ー 髙羽千佳

金魚の町、奈良・大和郡山の小さな本屋「とほん」。
旅先での本との出会いも楽しみにしている

 

本がびっしりと並んだ棚に
はまされた通路を歩いていると、
急に体がざわつき出し、ぶるっと身震い。
そして、次の瞬間、
トイレはどこかしら・・・とそわそわ。

 

本に囲まれた環境に身を置くと、
かなりの確率で起こるこの不思議な現象。

私も幼い頃から幾度となく体験してきた。

 

同じような経験をしている人は多く、
ひと昔前の「本の雑誌」(本の雑誌社)では
この現象を体験した投書者の名前にちなみ、
「青木まりこ現象」と呼んでいた。
原因は、インクのにおいによる刺激、
閉塞感による緊張など
いろいろ言われているけれど、
未だあいまいなまま都市伝説化している。

 

この現象をネガティブに思う人もいるが、
私は嫌いじゃない。
むしろ好きだ。

 

ざわざわっとくる身振いは、実は武者震い。
何百〜何万という本を目の前にして、

「さあ、どの1冊を選ぼうか!」

という抑えきれない高揚感からくるものだ。
そして、「自分が知らない情報=本」に
囲まれているという興奮が、
プレッシャーに変わりcall of natureへ…?
私は、本を選ぶ臨戦態勢入れるための
儀式のようなものだと思っている。

 

出版不況と言われてからだいぶ経つ。
一部の好調な本を除き、
初版部数は最小限に抑えられ、
その分、出版社は数多くの本を
生み出さなくてはならない。
本屋の棚の新陳代謝は激しく、もし、
お気に入りの一冊に出会えたとしたら、
それはとても幸運なことなのだと思う。

 

おばあちゃんになってどこに住むにしても、
時間を忘れて本を選べる本屋だけは
あってほしい。
そして、ぶるっと武者震いをしてから、
本を選ぶのだ。

 

 


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