こだわりのさじ加減 ー 髙羽千佳

 

鯖寿司。残念ながら、福井に形の良い鯖はもう揚がらず、
静岡の焼津や、青森の八戸産がほとんどだとか

 


「京は遠ても十八里」。

 

先日、都内で開催された
「鯖街道朽木谷の鯖の達人と海がないのに
なぜ鯖が美味いのか考える会」という、
長ーい名前がついた食事会に参加した。

 

鯖街道とは、古代より若狭から京都まで
海産物や塩を運ぶために切り開かれた
幾つかのルートの総称。

 

料理を振る舞ってくれた上田夫妻は、
一番頻繁に利用されていたルートの経由地
朽木谷(滋賀県高島市)で、
味処「花ごよみ」を営んでいる。

 

食事会の主な献立は、
鯖の熟れ寿司、鯖のへしこ、
そして、塩と酢でしめた鯖が輝く
鯖寿司など。

 

どの料理も滋味に富み、
「やられた…」の一言。
会場からも賞賛の声が上がった。

 

食通の参加者からは、

「お酢は何を使っているんですか?」

という質問。
こだわりの調味料の名を聞き漏らすまいと、
皆、耳を澄ませた。

 

「ミツカン酢です」

…!

「塩は伯方の塩。醤油はキッコーマン」

!!!

なんという潔さ。
聞いた瞬間、「か・い・かんっ!」だった。

 

“こだわり” は大事だ。
でも、最近の
“すべてのモノにこだわるべし” 的
社会トレンドには、正直お腹いっぱい。
とはいえ、こだわりがなければ、
編集者は務まらないのだが…。

 

「調理に使う水は、
地元の水に黒曜石を浸して軟水にしたもの。
綺麗な水と寒暖差のある地元で育てた米は、
甘みが増し、とても美味しいんです」

と上田さん。

 

標高500〜1000mの山々に囲まれた
清流の里
朽木谷から、
鮮度に気を配りながら、普段使っている
水、米、すべての材料を背負って
やってきてくれたのだ。

 

「地元の味をそっくりそのまま
食べてもらいたい」。


それが、上田さんのこだわりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年08月29日 | Posted in ひらめきのタネ | | No Comments » 

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