音の風景 ー ヤマグチマコト
本当に今年の夏は暑いですね。
……というような書き出しで
始まるコラムが世の中どれだけあるのかと
思いを馳せながら
今、これを書いています。
個人的にこの猛暑で気になったのは、
蝉たちが鳴き始める時期が、
例年よりも少し早かったかな
ということです。
自分の感覚だと
9月ぐらいから騒がしくなってくる
イメージがありました。
というのも、
その時期に外で音を録音しようとすると、
常に邪魔になるのが蝉の鳴き声だったので、
その違いに敏感に
なっているかもしれません。
蝉の声に限らず
秋、冬、春と季節がめぐるとともに
その瞬間を彩る音の数々が
私たちの周りには溢れています。
「サウンドスケープ」
という言葉があります。
簡単に言えば “ 音の風景 ” という意味で、
目に見える風景だけではなく
そこに存在するさまざまな音も
風景全体を構成するものとして
捉えていこうという考え方です。
自分もこの仕事に携わるまでは、
おそらく周囲の音に対して
それほど何か特別なものを
感じていなかったように思います。
作品の世界の音を構成していく中で
本当に多種多様な世の中の音の存在を知り
はじめて自分は
いろいろな音に囲まれているという感覚を
持つことができたのではないかと。
今では特別意識を集中しなくても、
常に自分が
どんなサウンドスケープの中に
立っているのか
当たり前に感じることが
できている気がします。
そして、その感覚を持てることは
とても幸せなことだなと思っています。
音の風景の意味を考え調和させていく。
自分が今この仕事をしている意味が
そこにあるのかもしれません。
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