夏と映画館 ー 土井サオリ

 

夏になると毎年思い出す映画がある。

 

ひとつは「砂の女」
もうひとつは「バグダッド・カフェ」
どちらも、リバイバル版を大阪で鑑賞。

 

この2つは、いつも同時に思い起こされる。
たぶん共通するのは「砂」、そして、
新しい場所に馴染んでいく姿なのか。

 

気だるさが虚無感を生み、
いつの間にか浸っていく感じが
似てるのかもと、ぼんやり考える。

 

どちらも依存性があって、
時間が経つと再び浸りたくなるのだ。

 

憧れていた暗幕のカーテンや映写機の音、
劇団維新派が内装した
お気に入りのミニシアターで、
十数年前、
ボランティアスタッフをしていた。

 

きっかけは、会員に送られてきた
上映スケジュールに入っていた
一枚のプリント。

 

「国からの芸術文化予算の削減のため、
 突然、補助が
 受けられなくなってしまった」

というような内容が、A4用紙にツラツラと
印字され、感情を押し殺す
静かな怒りを感じた。

「芸術文化がムダだとボヤいていた
   あの政治家か」

と、ピンときた私は、驚くほど腹が立ち、
履歴書を持ってボランティアスタッフの
面接に行ったのだった。

 

お客様の誘導や、忘れ物管理、
チラシの封入作業などを行い、
上映中に時間が空くと映画も見れる。

 

流れる映像はとてもマニアックで、
ロシアオカルトや、市川崑作品など、

「シフトが入っていない日でも観に来てね」


と、おっしゃっていただき、

逆に申し訳なくなったりしたものです。

 

憧れの場所は、どこにいても、
何をしていても
「夢の中」で過ごすことができた。

 

今は、近所にある「大映通り商店街」の
道路に施してある
「フィルム」をイメージした

カラー塗装を見ては、
映画館へ行きたくなる。

 

そんな、依存性のある場所を作りたい。

 


「ふるふる舎」Web

 


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