装丁家的書体づくり(3)ー 山田和寛

「村上春樹語辞典」
(ナカムラクニオ/道前宏子著 誠文堂新光社)
でつかわれたNPGヱナ。ブックデザインは川名潤さん。

 

前回の続き。

 

書体デザインの世界では

「フォントづくりは終わりがない」


とはよく言われますが、

ひとつ直すと他が気になる
他も直すと別のところが気になる
という循環の繰り返しで、
ここだ! というところを見極めて
終わらせないといけません。

 

クライアントワークであれば
締め切りが明白ですが

自主制作の場合は、
毎回どこで終わらせていいか
分からなくなります。

 

「NPGヱナ」の場合、
とりあえずざっくりとした

リリース日を決めておき、
そこから逆算して、

フォントとして完成させる
デッドラインを設定しておいて

それ以降はデータに触らないようにします。

 

次は売り方です。
ウェブストアでフォントデータ販売のための
もろもろの設定をしてSNSで告知します。
あとは自然に拡散していく流れに
身を任せるだけです。
まあ普段の仕事との兼ね合いで
あんまり派手に宣伝する手間が
かけられないというのが実情ですが、
理想はじわじわ浸透していくのが
いいですね。

はじめからあまり派手にバズってしまうと
飽きられるのも早いですからね。

 

いちばん嬉しいのは同業の
装丁家の方が使ってくれることです。
先日出版された「村上春樹語辞典」で
ヱナが使われていました。
もともとの制作のモチベーションが
「自分が使いたい」ということだったので、
自分以外にも使いたいと
思ってくれる方がいる

ということが不思議で面白いです。

 

他にもいろんな書籍で使われているのを
嬉し恥ずかしい気分で見ています。


こうして自分の生きた痕跡のようなものが

大量に刷られて世に残るというのは
妙な具合です。

 


「nipponia」web

 


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