あたりまえがいちばん難しい(1)ー 山田和寛

DTPオペレーターに渡されるフォーマットの指定紙

 

ぼくは書籍をデザインすることを
本業としていますが

仕事とは関係なく
読書をすることも好きです。

 

勤め人だった頃は通勤時に
必ず一冊は携帯していました。

仕事柄、普段の読書でも本の装幀をはじめ、
使われている活字の種類、
レイアウト、用紙、インキなど

気になることが多いのですが、
一度内容に集中できるとそれらが
読書の妨げになることはありません。

なぜすらすらと読むことが
できるのでしょうか?
そこには我々があたりまえに読めるように
多くの工夫があります。

 

書籍の仕事は編集者が中心となって
すべてが動きます。
著者が編集者と原稿の整理をし、
デザイナーが本文のフォントの種類、
文字のサイズ、行間、文字同士のスペース、
禁則ルール、
周りの空間、
テンマルや括弧類の前後のアキなどの
組体裁を整え、
ページのテンプレートとなる
フォーマットデータを作ります。

 

そのデザイナーが作ったデータは、
組版を担当するDTPオペレーターという方の
手に渡ります。

テキストを実に読みやすく組んでくれる
神のような存在です。

 

デザイナーが心血注いで
フォーマットを作っても、
いざそのデータに
テキストを流し込んでみると

ルールが厳しすぎて文字同士が
スムーズに流れなかったり、

リズムが悪くて読みづらい箇所が
出てきてしまいます。

 

そこでDTPオペレーターは
文字を開けたり詰めたり、

微細な調整を施しつつ
読者が心地よく読めるように

最善を尽くしてくれる百戦錬磨の職人です。
当然、素人にはとても難しい仕事です。

 

ぼくらがあたりまえに本が読めるのは
この組版に関わる人たちがいてこそ。

 

我々が普段目にする書物のクオリティは
こうした方々の不断の努力によって
保たれているのでした。


次回に続く。

 

 


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