季節に敏感でいたい ー いたしおり

採集してきた季節の草花たち

 

秋の花をならべてみる。
金木犀、萩、リンドウ、秋桜、彼岸花。

 

秋雨前線のカーブを指でなぞって、
埼玉は明日雨だねえと思ったりする。
朝は半袖と長袖を両手に持って、
ウウンと唸る季節の変わり目。

 

日本には四季というのがあって、
同じ場所に暮らしていても
暑くなったり寒くなったりする。
春夏秋冬の4種類を
しっかり面白がれるのはとてもいい。

 

中でも、
七十二候(しちじゅうにこう)という
方法があって、
わたしはこれが好きだ。

 

1年を72個に分け、
時々の気候や動植物のことを描いて
季節を表す古い暦(こよみ)。
1年を4つに分けて楽しむのが四季なら、
こちらは72個に分けて楽しむのだから
なんとも贅沢である。

 

秋分の末期に当たる今を
七十二候でみて見ると、

「水始枯(みずはじめてかる)」

と出る。
これは水抜きされた田んぼのことだそう。

 

稲穂たちが金色の頭を垂れ、
田畑の水が抜かれる
稲刈りの時分を描いていて、
実りの季節がきたことを教えてくれる。

 

服作りを生業にしていた母方の祖母は、

「寒くなったらツイードの生地が
 おしゃれだでね」

と言い幼いわたしに
秋の生地見本を見せてくれ、
生け花が上手だった父方の祖母は、

「秋はリンドウの青を
 玄関に置くといいけん」

と言い飾って見せてくれた。

 

だからわたしはツイード生地が
どんな織りなのかを知っているし、
今では年中買うことができるリンドウが、
秋の花であることを知っている。

 

こうして、自分より前に季節を生きた誰かの
面白がりを聞くことは、とても楽しい。
いつだって季節に敏感でいたいと思う。

 

先日、萩の花を押し花にして
ブローチをつくっていたら、
窓の外ではちょうど稲刈りの音がしていた。

 

みず、はじめてかる、

と独り口に出して言ってみたら、
ちょっと楽しかった。
秋ですね。

「記憶の標本」と名付けたブローチ。押し花にした草花をとじこめています

 


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