<続>食の記憶から垣間見えること ー 増田拓史

 

人々の記憶に残る
お料理のレシピやストーリーを、
できるだけ丁寧にすくい上げて
取りまとめられるように試みているのが
「食堂シリーズ」なのですが、
前回に続いてお話させてください。

 

「水戸食堂=茨城県水戸市」では、
青森県南部町出身の方から
子供の頃によく食べていたという
「かっけ」のお話をいただきました。

 

かっけとは小麦粉を練って薄く伸ばして
茹で上げただけのもの。
いたって素朴なお料理ですが、
この背景には決して豊かではなかった
この地域の歴史が垣間見えます。

 

今ではわざわざ青森から取り寄せ
食べているそう。
豊かな記憶ではないものの、
時間と共に郷土への愛情がこもったものへと
変化できたのでしょう。
(写真は前回に掲載)

 

時間と共に捉え方が変わるお料理は
「前橋食堂=群馬県前橋市」でも、
聞き取りをすることができました。
「おきりこみ」と呼ばれる、
煮込みうどんに近いもの。


今現在では郷土料理の代名詞とも言える

このお料理ですが、
そもそもは農業地域の家々で、
農作業の合間に生地を打ち、
仕事終わりにその日の収穫物と
一緒に煮込んで食べていたものでした。

 

日々の忙しさが感じ取れる
このお料理ですが、
遡ればこの地域で用水事業が難航し、
米を生産するのに不向きだった時代に、
米の代替種目として生産されていたのが、
麦類や蕎麦でした。
郷土食として知られているものも、
元来粉物は致し方なく食べていたとも
言えるのです。

 

このようにして、
記憶に残るお料理をリサーチすると、
地域や歴史がどんどん繋がります。
また同じ物事でも時空を越えると
捉え方がかわることも明解になりました。

 

日常生活の中では、
時空は簡単に越えられませんが、
少しだけ視点を変えて
同じ物事を考えてみると、
もしかしたらいつもと違うものが
見えてくるかもしれませんね。

 

 


2018年11月05日 | Posted in 余談Lab, ひらめきのタネ, 美術家 増田 拓史 | | No Comments » 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です