老人も旅に出る/ 「ストレイト・ストーリー」ー 大場 綾

 

前回の克子さんが紹介した作品は
「ギルバート・グレイプ」でした。

 

ジョニー・デップの美しさも
去ることながら、ほぼ無名だった
レオナルド・ディカプリオの演技が
天才降臨と話題沸騰だった。

 

それとお母さんの印象が強烈。
けど克子さんの文章を読んで、
ベッキーがとてもとても素敵だったことを
思い出した。

 

​「ギルバート・グレイプ」は
若者が旅立つまでの映画だった。
今回は老人の旅の映画の話を。

 

1999年の「ストレイト・ストーリー」。
監督は鬼才デヴィッド・リンチ。

 

リンチはいかれた映画を
商業ベースで成功させてしまう天才監督だ。

 

植物で言ったら一本の木に
薔薇やひまわりやラフレシアが
ぎゅうぎゅうに咲いているところに
りんごもパイナップルも鈴なり、
しかもどれも腐りかけですごい臭い、
けどすごく魅力的。

 

その狂ったリンチ樹が狂い咲きして
いきなりポコっと咲かせた
みずみずしいスミレの花、
みたいな作品がこれ。
ゆっくりで優しくてのどか
(ほかの作品はちぎれた耳を拾ったり
    小さいおじさんとおばさんが
    踊りながら紙袋から出てきたり
    ヤバい)。

 

あらすじはシンプルだ。
主人公アルヴィン・ストレイト73歳が
些細な言い争いが元で10年以上も
交流を絶っていた兄が倒れたと知り、
自身も不自由な体をおして会いに行く。

 

アイオワからウィスコンシンまで
距離にして約560キロ、
時速8キロの芝刈り機で
何週間もかけて行く。

 

道中いろんな人に出会う。
アルヴィンは田舎の素朴な老人で、
口数はあまり多くない。
その少ない言葉で、
73年の時間の中で経験してきたことを
出会った人々に少し伝える。
それが、その時々でぴったりはまっている。
いいことも悪いことも。

 

歳をとったとき、
こんな風に語れることを
いくつも持っていたらいいなと思った。
アルヴィンが何回か見上げる夜空に
またたいていたたくさんの星々のように。

 

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」

 


2019年01月18日 | Posted in 余談Lab, 大場綾, 映画に学ぶ | | No Comments » 

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