本読みの鮮度 ー 土屋裕一

 

思いがけず、
本屋の眺めが変わることがあります。

 

よく覚えているのが、大学の授業で、
デザインの理論「アフォーダンス」を
学んだ日のこと。

 

授業を終えて本屋に出かけると、
アフォーダンス関連の本が
やけに目に止まりました。

これまで閉じられていた知覚の扉が
パカっと開いたかのように、

目や耳が「アフォーダンス」を
受け入れていました。

 

他の言葉でも
似たような体験をすることがあります。

 

先日、病院で働く友人と食事をしながら、
「会話」について話が弾みました。

 

彼は「聴くことは話すこと以上に大切」と、
哲学者・鷲田清一(わしだきよかず)先生の
言葉を使いながら、
説明してくれました。

 

目からうろこの言葉ばかりで、
ぼくの「鷲田清一」の扉が
開いたのでしょう。

帰り道に本屋へ寄ると、
先生の本が次々と見つかりました。

 

近所のよく出かける本屋ですが、
いつもとはまるで違う感覚で
本棚を眺めていました。

 

そのときに購入した
『「聴く」ことの力』は、

新雪の上をスノーボードで
大きなS字を描くように、

心地よく、スイスイと
読み進めることができました。

 

本にも読むべき “ 旬 ” のタイミングが
あるはずで、

“ 読みごろ ” を逃さずに味わいたいと、
山積みになっている本を前に、
今年も思うのでした。

 

ちなみに、ぼくの日々の “ 読みどき ” は、
早朝の散歩タイムの前後です。

冬は、関東平野を実感できる風景が
広がります。

 


「本屋写真館」web

 


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