1冊の本 ー 檜垣裕美

 

ふとしたことから思い立って
昨年の秋ごろから
ときどき出版翻訳のコンテストに
応募するようになった。

 

翻訳コンテストは
ほとんどが
英語のものだが、
秋も深まるごろ
フランス語のものを見つけた。
ある本を翻訳する下訳者数名の募集だった。
上訳者と下訳者が分担して
1冊の本を翻訳した後、
上訳者が全体の訳文を整える。

 

フランス語の勉強は10年ほどしてきて
実務の翻訳やチェックの経験は
多少なりともあったが、
出版翻訳の経験はもちろんなかった。

 

それでも無謀にも

「この本を訳したい!」

と思って課題文を翻訳して
応募してみたところ、
まさかの下訳者チーム入り。

 

「選ばれた!」

というよろこびもつかの間、
3週間弱フランス語漬けの日がはじまった。

 

コンテストの課題文を訳すときには
ある程度じっくり時間を
かけることができるが、
実際の仕事がはじまってしまうと
毎日一定のペースで訳していかないと
とてもじゃないけど訳し終えられない。

 

下訳とは言え、出版翻訳とはどんなものか
少し
垣間見ることができる
貴重な経験となった。

そして下訳者として関わったこの本が
2月末に出版された。
「現代地政学 国際関係地図」
という本だ。

 

地政学と聞くとあまりなじみがなく
取っつきづらいかもしれないが、
地図とともにフランス人の学者が
世界をどう見ているのか知ることができる
興味深い本だと思う。
ひとりでも多くの人に
手に取っていただけるとうれしい。

 

その後、英語のコンテストにも
応募してみたが2回とも最終選考どまり。
結果を聞くとがっかりしてしまうが、
静になって考えてみると、
今の自分の実力ではここまで行けただけでも
十分なのだと気づく。
それでもいつか最後のひとりに
なれるようにめげずに頑張ろうと思う。

 


檜垣裕美Instagram

 


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