美術をいろんな角度から観たい ー 真子みほ

 

前回、美術史ではなく図学を選んだことが、
ずっと感じていた個人的な感覚と仕事とを
結びつけていると書きましたが、
それはどんな感覚なのか、
ちょっと書いてみたいと思います。

 

昨年、歴史学者・阿部謹也さんの
『自分の中に歴史を読む』(筑摩書房[ちくまプリマ―ブックス]1988年、ちくま文庫2007年)
という本を読みました。
著者の自伝的要素を含む、
中高生に向けた歴史学の入門書です。

 

阿部さんは社会の中の
人と人との関係性を探ることで
ヨーロッパ中世の歴史を探っていった
研究者ですが、このなかで子どもの頃、
夏の終わりに海へ行き、
昨日までとの情景の違いに
驚いた思い出に触れています。

 

後年それを思い出し、
あれは季節に終わりがあることを
知ったときだったのだ、
と気づいたと。
そしてこのように後から整理することは、
いわば「私」を歴史的に掘り起こす
試みでもあるというのです。

 

これを当てはめて
自分の歴史を整理してみると、
あのとき私が図学を専攻したのは、
美術を違う角度から観たいと
思ったときだったと気づくのです。

 

図学で絵画分析をすれば、
対象は時代や地域を跨ぐことができて、
作家やジャンルを
絞らなければならなかった美術史より
広い視野で知りたいこと
(今考えると浅はかなのですが、
    学部生の時は日本の絵画空間の
    特徴みたいなことを掴みたかった)
に近づける気がしたんですね。
そしてその広いところから観て
解釈したいという感覚は、
今の仕事の姿勢にもずっと続いてるなぁと
思ったりするわけです。

 

ではこの感覚が具体的にどのように
今の仕事に落とし込まれているのか、
それはまた次回。

 

 


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