何を捨てるか ー はしもとみお

 

人も動物も、大なり小なり違いはあれど、
生まれながらにそれぞれの大きさの
器の中にあらゆるものが
備わっているのではないかと
思うことがあります。

 

成長とともに、
必要ない機能や情報が消去されていく。
何を捨てるかで自分のアウトラインが
決定していくように思うのです。

 

私は人を見るとき、
その人が何を手に入れているかより、
何を捨ててきたかに興味がある。
彫刻はまさにその感覚で制作が進みます。

 

はじめから木の中にもうすべての形はある。
何を捨てるか間違わないように
進めようとするものの、
一部にとらわれて全体の印象を見失うと、
たちまち破綻してしまう。

 

はたまた全体のバランスや
成功ばかりにとらわれて、
勇気ある一刀を踏みとどまるようなら、
美はそっぽを向いて何処かへ行ってしまう。
また木自体も生命なので
大いなる自然の流れやうねりがあり
どうしようもない事象もある。

 

そんな中で彫刻も人生も一度で思い通りに
成功させるなんて無理難題で、
かといって簡単に投げやれるものでもなく、
どんなふうに何を捨てていけばいいのか、
誰も助けてくれず、迷宮のようなものです。

 

私は立ち止まったり行き詰まったときに、
何かを手に入れようとするのでなく、
今自分の中に
もともとあるもののことを考えます。

 

そう、子どもの頃できていたことや
備わっていた物事。
いつのまにか何かに覆いかぶさって
見えなくなっている
自分の中にあるトキメキや好奇心。

 

そうしたらあとは簡単、
そこをめがけて要らないものは
勇気を出してポイポイ、捨てていくのです。

 

自暴自棄になって
大切なものまで捨てるのはいけませんが、
残したい自分の輪郭をめがけて
要らないものを捨てていけば、
シンプルな、潔い美しさが、
満ち満ちてくるでしょう。
そういう人って、かっこいいですね。

 


「はしもとみおホームページ」

 


2019年04月06日 | Posted in 余談Lab, ひらめきのタネ, 彫刻家 はしもとみお | | 1 Comment » 

コメント1件

  • 植田真未 より:

    今まさに、もっと手に入れないと、取り戻さないと…その思いの性で悩んで前に進めない自分でいたこと、みおさんのブログを読んで気づかせて頂きました。
    ありがとうございました。

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