地図を手に入れる ー 真子みほ

 

美術をいろんな方向から観ていくことは、
地図を読む作業に似ています。

 

私の修士論文の題材は地図でした。
前近代、近代、ポストモダンの
3つの地図の転換期を
歴史に沿って語ることで
日本社会全体の認識の変化を
観ていくというものです(無謀)。

 

現実空間を二次元に
どのように落とし込むのか、
その手法を生み出す社会の感覚を
知りたいという興味が
図学の範疇だったのです。

 

地図は一枚の図ではなく、
特定の空間とつながっている点が
最大の魅力です。
近代以降の地図は、ある一定の範囲を
均一に眺めることができます。
それを念頭に実際の場所を歩くことで、
自分のポジションを意識しつつ
多角的に空間を把握することが
できるのです。

 

例えば1人の作家の展覧会を企画する場合、
まずは自分が今まで学んできた
美術の歴史の中で
その作家の立ち位置を見定めます。

 

そしてそのポジションのままなのか
他の流れを見つけるのか考え、
ストーリーを作り、
作品を当てはめていきます。

 

最後にそれが空間として立ち上がり
展覧会がオープンするわけですか、
展覧会の完成は、その作家のマップが
自分なりに読めるようになった!
という感覚をもたらします。

 

今までの自分の少ない知識・経験を
フル動員し、
そこから当たりをつけて調査する。
昨日観たニュースも一昨日食べた料理も
先月読んだ漫画も
いつかその材料になります。

 

私の場合は、雑多な空間を引き寄せ
眺めることで作家を知り、それを入口として
世界を把握したいというのが
本当のところなのかもしれません。
美術はある意味手段なのです。

 


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