昭如少年を救うー 大場 綾

 

前回は「ドリーム・ガールズ」。

 

公開時に私も観た。
七色に輝く表紙のパンフレットも買った。
出演者の表記順では
スーパースターのビヨンセが先でも、
エフィーを演じる
ジェニファー・ハドソンの歌唱力に
圧倒される映画だった。

 

克子さんが書いた通り、
映画のエフィーは一度堕ちて
最後に報われる。
けれど実際のエフィー、モデルとされる
フローレンス・バラードは報われなかった。

36歳の若さで非業の死を遂げたそうだ。
現実はむごい。

 

それで連想したのが
高畑勲監督の「火垂るの墓」。

前回に続いてまた太平洋戦争ものか。
ものです。

 

40歳以下の日本人なら
知らない人はほぼいないのでは。

実は数年前まで未見だった。
ホラーは好きだが、心がつらいのは怖い。

 

観ないくせに
この作品のWikipediaは読んでいた。

有名作品だけに情報が多い。
原作は野坂昭如の
実体験に基づいた小説であること。
野坂少年には
妹を疎んじる気持ちがあったこと、
ろくに食べ物を与えずに餓死させたこと、
その贖罪と鎮魂のために書かれたこと、
など。

 

観て驚いた。
当たり前だが全然違う。
妹のために最後まで一生懸命尽くす兄。

こんな14歳いるかー!

と突っ込んでしまった。
もちろん自分がそんな14歳では
まったくなかったからだ。

野坂昭如がこの物語で救おうとしたのは、
妹よりも自分自身だったと感じた。

そして妹と一緒に
自分も殺さなければ救われなかったと。

 

史実を元に作られた作品の、
史実と異なる小さな救いに
目が行ってしまう。

是枝裕和監督の「誰も知らない」も、
現実には妹の亡くなり方はもっとむごいし、
心が近づく女子中学生は存在しない。

 

それぞれに理由があるだろうけれど、
作り手の良心のうずきのようなものにも
思える。

(一方、「ボヘミアン・ラプソディ」の
    ポール・プレンターの描き方は
    容赦なさすぎて「アー」となった)

 

 

大場 綾ブログ「kusamura.com」


2019年05月15日 | Posted in 大場綾, 映画に学ぶ | | No Comments » 

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