台北のステンシル文字 ー 山田和寛
柏祥號鐵皮刻字にて
先月は一回お休み&充電期間でした。
その間、一年ぶりに台北に行ってきました。
今回はフィールドワークという名の
食べ歩きが目的。
といいつつなんだかんだ
文字と本を見てきました。
特に面白かったのが、
ステンシル工房を訪ねたこと。
台北の街の看板は、
今ではデジタルフォントを
使用しているのが普通ですが、
お店のシャッターやトラックの荷台など、
至る所にアナログのステンシル文字を
見つけることが出来ます。
じつはこのステンシル文字をつくる名工が
台北の古い問屋街にいるのです。
御年76歳の林さんはこの土地で60年近く
鉄板にステンシル文字を穿っています。
僕らが訪ねてすぐ
日本からの観光客とわかると
どんな文字を書いて欲しいか聞かれました。
純粋に会いたいという思いで訪ねたので、
思いがけぬ僥倖にあわてて考え、
とっさに思いついた
「nipponia/東京高円寺」という屋号と住所の
プレートを作ってもらうことに。
簡単にレイアウトを指定して、
お金を支払うと、
「明日の昼くらいに取りに来て」と。
そんなに早くできるなんてラッキー!
と大喜びで翌日ウキウキで
受け取りに行きました。
そしてできたのが写真のものです。
いろいろとお話を伺っていると、
この土地の看板職人達は、
かつて大陸から渡ってきた移民の中でも
文字の巧みな人が
生活のために始めたものだそう。
50年ほど前の使い古された
楷書体の見本帖や
アルファベットの文字の作り方などを
レクチャーしてもらい
短くもなんとも幸せな時間を過ごしました。
日本はコモディティ化が進んで久しく、
東京もそのほかの地域も
似たような風景になってしまいましたが、
台北にはまだまだ街の余白が多くあります。
“街場”の生き生きとした文字を
体感できたいい旅でした。
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