歴史好き ー 真子みほ

 

歴史が好きで学芸員を目指したと
以前書きましたが、
わたしの歴史の見え方が
ガラッと変わった瞬間について
書いてみようと思います。

 

もともと歴史が好きだった理由は
「物語」が好きだったからです。

 

暗記は苦手ですが
過去の壮大なひとつの物語という
ロマンティックな点に
興味を持っていましたので
教科書はかなり読み込んでいました。

 

そんな物語への態度が変化したのは、
20歳くらいで犬養道子著『花々と星々と』
(中央公論社1970年、中公文庫1974年)を
読んだ時でした。

 

 

犬養さんは首相犬養毅の孫。
5.15事件は歴史の授業で
習ったことは覚えていて、
でもそのクーデターは高校生までの私には
歴史の流れのどこに位置するのか分からず、
犬養がなにか悪かったような
イメージを持っていました。

 

ところがこの本は
孫の目線で描かれています。
時を経て冷静にその事件を
眺める視点も加わり、
犬養毅やその時代の空気を
今までと違った視点で気づくことが
できたのです。

 

そこでわかったのは
当たり前と言えばそうなのですが、

事実はひとつだけど現実はたくさんある

ということです。

 

事件が起こった、青年将校に
犬養毅が殺された、

という事実はひとつです。
けれどそれぞれの立場で見たとき
それは違った現実として映ります。

 

数多ある現実を選択し編み直すことが
歴史学者の仕事です。
歴史を知るということは
それを理解したうえで
ある程度の多視点を
持たなければならないし、
おもしろいことに
過去が今につながっているという実感も
生まれてきたのです。

 

歴史を学ぶ意味が
自分なりにわかった瞬間でした。

 

 


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