親になる ー いたしおり

 

わたしたちは知らないうちに生きていて、
あれがしたいこれがいやだ、
眠い食べたい愛されたいって、
いつのまにか思っていた。

 

いつのまにか生き延びた命は
ほかの命と出会って、
また新しい命を生み出そうとしたりする。
不思議だ。

 

今、わたしの腹のなかには
新しいひとがいる。
新しいひとは、必死に細胞分裂して
日々大きく育っていく。

 

最近では、腹を蹴るその力が
ずいぶんと逞しい。
蹴られた弾みで
おしっこが出そうになるくらい。

 

先日の検診で先生は、
赤ちゃん1.5キロくらいになってるよ、
音も聴いてるよと言った。

 

 

服もきつい。階段つらい。
靴下履くにはコツがいる。

 

何より不可解なのは、
無意識のうちに自分が母親になる
準備をしているということだ。

 

身体も脳みそも胎児のために全力を使い、
自分のために使われるエネルギーは
ごく僅かである。

 

制作したいとか、仕事したいとか、
散歩行きたいとかお洒落したいとか、
この映画みたいとか
自分のために用意された
選択肢の優先順位が、
ガラガラと入れ替わってゆく。

 

そしてそれは母親にのみ
採用されるシステムで、
父親になるひとは以前と身体も脳みそも
ほとんど変わらないらしい。
ああ、不思議。

 

この夏は新しい命が産まれる、予定。
不安と期待が入り混じる毎日。
かわいいかわいい腹の膨らみを
今日も撫でる。

 

 


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