つながりたい/「あゝ、荒野」 ー 大場 綾

前回の「荒野にて」は、
克子さんの映画館における
2019年度上半期1位!

ぬぬぬ、観る !!
と色めきたったものの、
ロードショーはとっくに終わっていた…。

あとは名画座か、DVDか。
いずれにしても楽しみに待ちたい。

 

ところでこのコラムの第一回目は
当初ショーン・ペン監督の
「イントゥ・ザ・ワイルド」について
書いていた(最終的に全然違うところに
着地した)。

 

原作であるジョン・クラカワーの
ノンフィクションの邦題が「荒野へ」。

舞台は「荒野にて」と同じくアメリカだ。

 

主人公クリスはバージニア州出身。
両親と妹のいる裕福な家庭に育った。
学校では人気者。
大学を優秀な成績で卒業した直後、
家族の前から姿を消す。
アレクサンダー・スーパートランプという
偽名で放浪すること2年、
アラスカの原野で餓死。享年24歳。

 

一方「荒野にて」のチャーリーは貧しく、
母はなく、父も死んでしまう。
唯一の肉親である叔母に会えなければ
天涯孤独の身。

ほとんどすべてを失ったチャーリーと、
恵まれた境遇をみずから捨てたクリス。

対照的に見える二人だが、
求めるものは同じだったのではないか。

死を目前にしたクリスは本名を書き残した。
クリス・マッカンドレスを
見つけてもらえるように。

 

今回、タイトルに荒野とつく映画を
他にも何本か観た。

 

岸善幸監督「あゝ、荒野」の健二は
吃音で赤面症で内気な青年。

韓国人の母は少年の頃に亡くなり、
彼を強引に日本に連れてきた日本人の父は
酒を飲んでは暴力を振るう。

友達もいない。

 

その彼が小さくたどたどしい声で
「つながりたい」とつぶやく。

新次と出会って、ボクシングを始めて、
言葉は力を増す。

ラストのすさまじい試合シーン。
ついにつながれたのだろうか。

 

チャーリーとクリスと健二が荒野にいて。
私もたぶんそこにいて。
そこから出ようとあがいてる。

本物のクリス・マッカンドレス。アラスカでのセルフポートレート


大場 綾ブログ「kusamura.com」


2019年07月13日 | Posted in 余談Lab, 大場綾, 映画に学ぶ | | No Comments » 

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