なくてもいいか ー 赤木美名子

 

わたしが住む吉川区には国道も駅も
スーパーマーケットもない。
隣の区のスーパーマーケットまでは
往復36キロくらい。

 

移住する前は

「ひえー、遠い」

と思った。
ガソリン代でお豆腐が買えるから。

 

基本的には自宅で仕事しているので
大賀から2.5キロほど下りた先にある
郵便局へ荷物を持って行くくらいが

日頃の行動範囲。
吉川区の中心部にも
10日も下りない日もあるくらい。

まるで仙人です。

「楽しそうに暮らしているのは
   わかるけれど
買い物は大変でしょう」

と意地悪そうに言われる。

 

農家だからお米は売るほどあるし、
畑には野菜がある。
そして、週に1度の
ありがたすぎる生協の宅配。
突然の電池切れなんかは、夫の帰宅時に
中心部の小さな商店に寄ってもらえば
ことは足りる。

 

月に数回上越中心部に行くと
我が家の食卓には新鮮なお刺身が並ぶ。

純粋にモノを買うという買い物を
心から楽しむことができるようになった。

 

必要に迫られると作る術が身につくのだ。
お味噌はもちろん、
お味噌からできるたまり
(醤油みたいなもの)、

梅干しの副産物梅酢、
柿からできるお酢だって。
遠い遠いスーパーで買うスイカだって。

 

大変なのはここ。

畑の時間=睡眠時間が減る 
畑の失敗(野生動物食害含む)=家計の打撃

 

お米を作り、野菜を作るということは
買わなくてすむということなんだという
発想の転換。
田んぼも畑もアルバイトだと思うと
ますます面白くなってきた。

 

【あるといいながあるという暮らしから
    なくてもいいか、の暮らし。】              

 

それがいいとか悪いとかでなくて
そのことを感覚だけでなく、
自分が身を以て感じることで
暮らしが変わる。

 


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