焼菓子屋としてのあんこ ー yuri
先日あんこを炊きました。
私は子供の頃、あんこが苦手でした。
甘味を強過ぎると
感じるからだったのですが、
大人になって、自分で作れば
好みに加減できると気がつき、
時々炊くようになりました。
改良を重ね、自分なりのをあんこを
炊けるようになってきました。
私は焼菓子屋なので、
ケーキやスコーンの生地に混ぜて
使うことが多いのですが、
どれほどたくさんケーキに混ぜても、
今度は不思議とあんこの味が薄いのです。
ケーキ生地にもお砂糖を使うので
甘くない、ということではなく、
あんこの味が、あまりしない。
これを長らく、
ケーキ:あんこの分量の問題だと思って
調整をしてきましたが、
急に、
お砂糖の量を基本の量にしたら
どうなるんだろう
と思って炊いたのが冒頭のあんこです。
当然のことですが、甘い。
そのあんこを使ってケーキを焼きました。
甘さが足されていますので、
ケーキのお砂糖を減らして
全体のバランスを取りました。
そして思い至るのです。
あんこそのもので食べた時に
『おいしい』と感じるあんこでは、
ケーキにした時には、弱い。
全体の甘さは変わらないのに
豆の香りの立ち方が
まったく違うものでした。
あんこの基本は小豆:お砂糖が1:1。
おそらくこれは、
豆の味が最大限に引き出される、
かつての職人さんたちが
長年かけて導き出した最適解です。
このレシピだけが正解ではないけれど、
基本には基本たる理由が、
ちゃんと存在するものです。
工夫することは大事なことだけれど、
それ以上に大事なことは、
基本に立ち返ること。
身につけたその知識や経験は
その後の人生を何度だって助けてくれる。
だから自分なりの工夫ができるし、
帰ってもこれる。
それのきっと、くりかえしなのでしょう。
コメントを残す