ちょうど良いように ー 鶴岡達悦

 

今年(2019)の2月まで住んでいた
神奈川県藤沢市長後は、
厚木基地の街として発達した
大和市のすぐ南にあり、
ぼくのいたアパートは、
大和市に源泉のある引地川を谷底とする、
崖だった場所を造成した斜面にある。

 

高低差があるので、
住んでいたのは一階だったが、
通りを挟んだ前の家々の屋根は
目線にあった。

 

通りから大谷石の階段を上り、
綺麗な芝生の踊り場は
お隣さんちの庭と繋がっている。

 

自分ちの庭のような小さな踊り場と、
日当たりのいいリフォームしたての部屋が
一目で気に入って住む事にした。
ぼくは芝生が伸びると、
勝手に芝刈りをしていた。

 

お隣りさんちも同様に傾斜地にある。
お庭のフェンスの先は、
柿、椿、梅などの植わった
法面(のりめん、人工的な傾斜地の事)だ。
道路からの立ち上がりは、
法面をおさえるブロック
(間知(けんち)ブロック)になっている。

 

法面と間知ブロックの間に
転落を防ぐものはない。
お隣りに住んでいたおばあちゃんは、
草が伸びるとくそ暑い真夏でも、
鎌一つで草刈りをしていた。
ぼくがやれば
草刈機で一瞬で出来てしまうし、
踊り場と、おばあちゃんちの庭は
地続きだったので、
ついでに手入れさせていただく事になった。

 

おばあちゃんはぼくが住んでいた
6年のうちにじょじょに弱っていって、
介護施設に入った。
手入れの依頼はおばあちゃんちの
隣りに住む弟さんから来るようになった。
その内、弟さんのお庭の手入れも
頼まれるようになった。

 

弟さんは庭の柵を有り合わせのもので
自作していた。
間知ブロックとの間にあるものとしては
若干心許なかったので、
フェンスを作る事を提案した。

 

おばあちゃんちと弟さんちは
もともと一軒の家だ。
おばあちゃんちのフェンスと
似たものを探して施工した。

 

足りていない、
あるいは過ぎている物事に働きかけて、
ちょうど良いようにしていきたい。

 

ぼくが手入れを始めて7年目の今年
初めておばあちゃんちの柿の実がなった。
木にとって、
ちょうど良いようにできてた事が
証明されたようで嬉しかった。

 

 


2019年12月12日 | Posted in 余談Lab, ひらめきのタネ, 造園家 鶴岡 達悦 | | No Comments » 

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