「ニュー群像書体」秘録 ー 山田和寛

バージョンアップのためのスケッチ

 

明けましておめでとうございます。
超久しぶりに文字の話をします!
講談社の文芸誌「群像」が
リニューアルする運びとなり、

デザインを担当することになった
川名潤さんのご用命により、

本文で使用する書体を
制作することになりました。

 

書体を作るといっても
日本語のすべての文字を作るのは

お金も時間もかかるので、
今回は仮名だけをつくりました。

 

日本語のテキストの半分以上は
ひらがなとカタカナ。

それを変更するだけで
劇的に印象は変わります。

nipponiaでいままでに発売している書体も
すべて仮名書体です。

 

読書家としてあこがれの書体というのが
いくつかあるのですが、

ひとつはイワタの明朝体オールド。

 

これは金属活字の時代から
綿々と受け継がれてきたデザインで、

写植の時代を経ていまも
デジタル化されたフォントが

現役バリバリで書籍の世界を
席巻しています。

だれでも「あ〜これね」と
既視感を感じる名作書体。

僕が学生時代に
最初に買ったフォントがこれ。

 

もうひとつは精興社書体と呼ばれる、
精興社という印刷会社でしか使えない
オリジナル書体。

 

精興社の創業者、白井赫太郎が1930年に
活字彫刻師・君塚樹石に依頼して
三年がかりで制作された、

独特のカーブと
小ぶりな仮名が特徴の明朝体。

白井が懇意にしていた
岩波書店の書籍で使われ、

岩波といえば精興社の活字、
というくらい有名になる。

 

そんなわけで、群像は
精興社書体のファンである
川名さんのご要望により、

精興社のスピリットを持った
仮名書体という方向性でいくことに。

 

そこで僕が過去に作った
未発表の仮名書体をカスタムしつつ、

読書人としてのバランス感覚で読みやすく、
かつ柔らかい独特の線質を持ったものを
つくりました。

そんな想いに気づかれないのが
「良い本文書体」であると信じて…。

 

そしてこの書体、リニューアル号となった
2020年1月号を皮切りに、

今後少しずつデザインを見直して
よりよいものにしていく予定です。

 

これも精興社書体黎明期の
スピリットを継承するもので、

自分としてもどう変わっていくのか
楽しみだなぁという心持ちでいます。

お楽しみに。

 


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