明るい光は見えたのか?/「希望のかなた」 ー 中村克子

 

前回の「シリアの花嫁」
結婚するにしても、
政治や宗教など
一筋縄ではいかない問題が影響して、
個人の判断では
何も進まないのがもどかしい。

 

大場 綾さんが書いていた通り、
日本から遠い場所ではあるけれど、
海と地面でつながっている中東の国で
一般の人たちの生活が
奪われている現実がある。

 

ニュースで国レベルの情報を
知ることができても、
一般の人たちの状況や思いを知ることは
なかなか難しい。

 

少なくとも、困難な現実に
直面している人たちがいるということに、
自分のアンテナを向けることが
必要だと思う。

 

そんな時に思い出すのが、
アキ・カウリスマキ監督の作品
「希望のかなた」。

 

内戦中の故郷シリアを亡命した
青年カーリドが
フィンランド・ヘルシンキにたどり着く。
実は、途中ではぐれてしまった
妹を探している。

 

フィンランドは
“ いい人々のいい国 ” と聞いていたが、
カーリドは差別や暴力にあう。
そして、難民申請をしても受理されない。
ここでは、ヨーロッパでの
難民受け入れの問題が
浮き彫りになっている。

 

行き場を失ったカーリドは、
強制送還される直前に脱走。
そんな彼を助けたのが
レストランオーナー、
ヴィクストロムだ。
カーリドを密かに
レストランで雇うことにする。

 

映画では詳しく描かれていないが、
ヴィクストロムは訳ありな過去を捨て、
長年連れ添ったと思われる奥さんと別れ、
転職をして従業員付きの
レストランオーナーになったばかり。

 

お互い人生をやり直したいと思っている
カーリドとヴィクストロムは、
次第に打ち解けていく。
レストランで働く従業員も
カーリドの味方になる。

 

探していた妹の消息が分かると、
ヴィクストロムはフィンランドに
連れてくる手助けをする。
しかし、カーリドは
妹に会うことができても
一緒に暮らすことはできない。

 

個人レベルではカーリドに
救いの手を差し出すことができても、
国レベルでは
どうすることもできないという
ジレンマを感じる。

 

彼に、明るい希望の光は見えたのか。
物語の最後は、曖昧な形で終わっている。

 

アキ・カウリスマキ監督の作品は
独特のテンポで淡々と進んでいく。
登場人物はあまり表情を変えない。

 

シリアスな内容でありながら、
ささやかなユーモアが散りばめられ、
弱い立場の人たちへの
やさしさが表現されている。

 

 


「青と夜ノ空」Web

 


2020年01月27日 | Posted in 映画に学ぶ, 中村克子 | | No Comments » 

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