書いた言葉 ー nashinoki

 

こんにちは。
今回は、鳥取のことを
書いてみたいと思います。

 

鳥取の高校で働いていた2013年のこと、
松崎にある「たみ」というゲストハウスで、
詩人の辺口芳典さんの
お話を聞く機会がありました。

 

辺口さんは大阪に住んでいて、
いろいろなところから言葉を集め
それを組み合わせて詩を作っている人。
同じ大阪からやってきた、
たみを運営する
うかぶLLCの蛇谷りえさんが、
辺口さんを呼んだのです。

 

その時、彼が自分の書いた詩を、
一枚ずつ額に入れて
売っているということを知りました。
僕も以前から短い文章を書いていたけれど、
それを印刷して人に見てもらうことは、
分量をもった本のような形でないと
無理だろうと思っていました。

 

けれど彼の話を聞いて、
何かゆるされたような気がしたのでしょう。
自分の書いた短いエッセイのような文章を
一枚の白いコピー用紙に印刷し、
いくつかの店に
置いてもらうことをはじめました。

 

表紙もつけずそのまま本文が見える形で、
あまり場所をとるのも申し訳なく思い、
小さく折りたたんで。
どこかに鳥取の町のことを書いた物語が、
ひっそりと裸のまま置かれていたら、
そこから町の奥が示されていくようで、
面白いと思ったのです。

 

第一作を書きあげ、
辺口さんを連れてきた蛇谷さんに
それを渡さないといけない気がしました。
ある日の飲み会の帰り、
折りたたんだ紙を何部か
くしゃくしゃの薄い茶色の紙にくるんで
手渡しました。
包みは紐かゴムで
結ばれていたかもしれません。

 

その時、恥ずかしさというか
とても緊張したことを覚えています。
包みは、なんだか
何かにくるまれたいも虫のように、
中に生命を孕んだ塊のようにも
いま振り返ると感じられます。

 

その中に入っていたものは、
あれからどうなったのだろう。
入っていたものの行方を考えながら、
辺口さんと蛇谷さんのことを、
それから
あの紙を見つけて読んでくれた、
知らない誰かのことを思います。

 


MAGAZINE 「TOTTO


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