かたどる ー 鶴岡達悦

白川静『常用字解』第二版より

 

前回のコラムで書いた岡崎の工場を
Googleストリートビューで見に行ったら
つるりとした新しい建物に変わっていた。

 

360°のザラザラの映像を
指先で操作して眺める。
空にはうっすらと著作権を示す
Googleの文字がちりばめられている。

 

記憶の中の空はすっと澄んでいる。
腰に紐をつけられて、空き地に立ち、
遠くを見る幼い私の写真がある。
紐はピンと張られている。
歩けるようになり
勝手にどこでも行ってしまう私を
管理下に置く為の措置だ。

 

実家のリビングの家族写真コーナーの一つに
その写真はある。
幼い私は写真立ての中で、
円形のフレームでかたどられている。
2019年のコーチェラの配信で、
カニエは円でかたどったフレームの映像内で
パフォーマンスをしていた。
私の写真のフレームの外は白だが
カニエは黒だ。※1

 

これを書いていて、
かたどるの漢字が ” 象る ” であることを
iPhoneの変換で今さらになって
改めて知った。
私たちはそのものを象った
象形文字をルーツに持つ文字を
使用しているが、
象の一文字とっても
知ってるようで知らない。

 

⦅白川静 象⦆で検索して
出会ったサイトに、エレファントの象と、
現象、事象などに使われる象が
なぜ同じ文字を使うのかに
言及したものがあった。
紀元前3世紀の戦国時代に
考えていた人がいたらしい。※2

 

さらにその200年前に仏様とのちに呼ばれる
ゴータマ・シッダールタは
生きる事は苦しみであると人々に説いた。

 

コーチェラから半年後に
リリースされたアルバム
『jesus is king』のジャケットは、
白地に明るい青のバイナルレコードを
どんと据えたシンプルなものだ。

 

レコードは当然円形をしてる。
円は中心点から円周までの距離が
どこでも同じだ。
太陽、周囲を回る惑星、地球、月、
原子核と電子、水滴の波紋、を見つめる瞳。

 

迫害を受け、十字架に張り付けられた姿が
シンボルとなる
キリストの生まれる400年前、
プラトンはなにを見て
幾何学形体を思索していたのだろう。

 

イデアからアイデアと使われ方、
意味は変化してく。
言葉は地層にも似ている。
一文字は砂粒か。
しかしその一粒はまた、広大無辺のようだ。

 


2020年02月12日 | Posted in 余談Lab, ひらめきのタネ, 造園家 鶴岡 達悦 | | No Comments » 

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