高級の寿司のシャリは口に入れたとたんにふわりとほどけるという/「二郎は鮨の夢を見る」ー 大場 綾

 

克子さんが前回紹介した「希望のかなた」。
重いテーマと笑いが共存していてすごい。
主人公のトンチキな寿司屋は笑った。

 

SUSHIはグローバルを越えて
スタンダードになりつつある感。
ちなみに「寿司」で検索すると出てくる
最新の映画作品はホラー「デッド寿司」だ。
寿司が人を殺す話。

 

大変気になりつつドキュメンタリー
「二郎は鮨の夢を見る」を観た。
「二郎」とは、すきやばし次郎の店主
小野二郎さんのこと。
2007年からずっとミシュランで
三つ星に輝き続けている。
映画の2011年時点で充分高齢だが、
94歳の現在も現役だそうだ。

 

情報の密度が濃い。
弟子や息子たちや
料理評論家へのインタビュー。
築地市場、厨房、故郷浜松の風景。
そしてもちろん何度も大写しになる
寿司、寿司、美しい寿司。
思わず口が開く。

 

その一方で、冒頭近くのシーン。
店内にいた赤いダウン姿の男性が去り際に
ショップカードを所望する。
長男の禎一さんが渡しながら説明する。
昼も夜も予約のみ、一人3万円から、
アラカルトもおつまみもなくコースのみ。

 

禎一さんのしゃべり方も食い気味で
ひとくせあるが
男性もなんだか存在感があって、
取材の人かな?と思うけど
以後出ては来ない。

 

ちょっと気になった部分が
スルーされていくなあと思った。
二郎なのに店名は次郎なこととか。
息子二人の幼少時の話をしているときでさえ
奥さんの存在感がゼロとか。
ミシュランの受賞シーンでは
見覚えのある料理人が大きく映って
二郎さんと仲良さげだが、
名前も出てこない。

 

アメリカ人の監督と日本人の私の違いか。
私がずれているのか。
両方か。
すごく丁寧に誠実に作られているけれど
つかみ所がなくて、
最高級の寿司のシャリ(食べたことはない)
のようにふわふわーとほどけていく。

 

二郎さんが魅力的なんですよという
映画なんだと思えば、とても納得がいく。
たいそう魅力的だった。

 

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」

 


2020年02月15日 | Posted in 映画に学ぶ, 大場綾 | | No Comments » 

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