売る本・売らない本 ー 土屋裕一
仕入れたはずの古本なのに、
「やっぱり売りたくないなあ」
と思い始めてしまう、
売る本・売らない本問題。
本の山に囲まれて棚卸し作業をしていると
毎年この問題に直面します。
悪いことではありませんが
悲しいかな、そればかりでは
商売になりません。
そりゃそうですね。
「古本屋なんだからきっとまた出会える」
とこれまでは
自分に言い聞かせてきたものの、
この数年で古本の市場は移ろい、
あの本も、この本も、入手困難に。
そうなるとまた
「売りたくないなあ」。
同業の方々は
その辺どう割り切っているんだろう?
何年も疑問に思いながら
過ごしてきましたが、
手元にあった雑誌のページに
響く文言を発見。
「ここからなくなっても
世界から消えたわけじゃなくて、
ほかの人の本棚に移っただけと
考えるようになった」
(『nice things』2020年2月号 )
大阪の書店・コトバノイエの
加藤さんのお言葉。
そう思えるようになるには
まだまだ時間がかかりそうですが、
標高を増していく本の山を前にしたら
そんなことも言っていられないなあと
眉毛が八の字になっちゃうのでした。
とほほ。
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