三つ星の料理 /「南極料理人」 ー 中村克子

 

前回の「二郎は鮨の夢を見る」。

 

大場 綾さんが描いた
「すきやばし次郎」店主、
小野二郎さんの2枚の似顔絵が
印象に残っている。

 

1枚は眼光鋭い、神妙な顔。
もう1枚は歯を見せて笑っている
優しそうな顔。
「すきやばし次郎」は
誰もが知っている名店。
ミシュランで三つ星を獲得していることも
有名な話だ。
「すきやばし次郎」は
三つ星をとっていなかったとしても、
すごい店なのだと思う
(行ったことはないけれど)。

 

そういえば
2020年フランス版のミシュランで、
日本人シェフのフレンチレストランが
本場で初めて三つ星を獲得したことが
話題になった。

ミシュランってそんなにすごいのか?

と単純に思う。
料理人にとっては一つの評価として
名誉なことなのかもしれない。

 

ミシュランの三つ星を狙う料理人とは
全く違う料理人を描いた映画が
「南極料理人」(沖田修一監督の作品)。

 

原作は「面白南極料理人」
(西村 淳著)で、
料理人として働いた
南極観測隊での一年が綴られている。

 

生き物やウイルスさえも生息していない
過酷な場所での生活。
そんな厳しい環境では、
食事が唯一の楽しみと言っていい。
毎日、西村さんは
8人の隊員のための食事をせっせと作る。

 

映画での西村さん役は俳優の堺 雅人。
一癖ありそうな隊員たちに
食事を通して優しく接する役柄だ。

 

例えば、
昼食にはみんなが大好きなおにぎりを出す。
南極で生活をしたくない、
脱走しようと話を持ちかける隊員にも、
おにぎりを差し出してなぐさめる。
やはり、おにぎりは心を和ませてくれる
日本人のソウルフード。

 

その他、映画では
おいしそうな食べ物がたくさん登場する。

・前の観測隊が置いて行った
伊勢エビが見つかり、
それを使った巨大なエピフライ

・隊員の誕生日を祝って、
肉の塊を丸焼きにしたローストビーフ

・「ミッドウィンター祭」
(南極の各国の基地で行われる太陽が出ない極夜期を祝う祭)で作ったフランス料理

・インスタントラーメンの在庫が尽き、
悲しむラーメン大好きな隊員のために、
かん水の代わりに重曹を使って麺を打った
本格的なラーメン

 

これらの料理は隊員たちに
喜んでもらいたいと思って、
限られた食材の中で
創意工夫をして作った料理ばかり。

 

原作では、南極に持っていく食材の話も
細かく紹介されている。
持っていける食材と持っていけない食材。
また冷凍など保存方法の工夫について。

 

一年間、同じ釜の飯を食い、
苦楽を共にした仲間の間には
強い絆が芽生えてくる。
毎日の食事とは
本当に大切なものだと感じる。

 

そして、隊員たちのために料理を作る
南極料理人は、ミシュランとは違う
三つ星に値するのではないかと思う。

 

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「青と夜ノ空」Web


2020年03月05日 | Posted in 余談Lab, 映画に学ぶ, 中村克子 | | No Comments » 

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