心に希望の種を蒔く−陸前高田で ー nashinoki

nashinokiさん3月

 

少し前、僕はある映像を見て
とても心を動かされることがありました。

 

その映像の冒頭
岩手県陸前高田市の「たね屋」
佐藤貞一さんはこう話します。

 

「戦争とか震災とかあって、
希望を失いたいと思うような時があっても、
心を強く持って、
とにかく希望を持つということは
ありきたりかもしれねえけども、
何もなくなったら、心しかないと。
その心の中に希望の種を蒔くんだと。
それを込めて書いてるんですけども」

(”113 Project Short Film Series: The Seed of Hope in the Heart”より)

佐藤さんは2011年の地震と津波で
自宅と店をすべて流され
それでも被災後しばらくして
同じ場所でプレハブの店を再開しました。
その時佐藤さんを支えたのが
ここで言われている言葉でした。

 

それまで自分を支えていたものが
消えてしまった。
その時、
人は何を支えとすることができるのか。
ものは消えてしまった
でも、心は残っている。

 

佐藤さんは震災後
独学で英語を学びながら
外国語で震災の記録を書きました。
最初は数ページで
終えるつもりだったその記録は
書き始めると止まらなくなり
今では300ページ近いものになっています。

 

その本のタイトル
『The Seed of Hope in the heart』
ともなった冒頭の佐藤さんの言葉には、
遭遇したとてつもない状況の厳しさと
そうであっても
そこには希望があるということ、
そして彼はその困難を確かに乗り越えた。
それらのことが
わずかな疲労の響きも感じさせながら
穏やかな調子で語られています。

 

どんなことが起こっても
何を失っても、
自分自身の心さえあれば
新たに一歩を踏み出すことができる。
心は移ろいやすくたよりないものでもある。
そうであるからこそ、心に希望があるという
佐藤さんの言葉にはっとさせられ、
そこに広い世界が
開けていくことを感じます。

 

そうして、過ぎてきた陸前高田の
9年近い歳月を思います。

 

MAGAZINE 「TOTTO


2020年03月10日 | Posted in 余談Lab, ひらめきのタネ, 文を書く人 nashinoki | | No Comments » 

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