確かな関係 ー 赤木美名子

 

竹細工を学びはじめた。
その会は70、80代のおじさま
(おじいちゃんとは呼ばない)
4人とわたし。

 

師匠は岩井さん。

 

 

細部まで丁寧な仕事をする。
だから弟子のわたしにもとても厳しい。
昔は富山の立山酒造で酒造りをしていて、
今でもチェーンソーで太い木も伐る。
強面だけれど日本ミツバチを愛する
養蜂家でもある。

 

森の名手として
国から表彰されるほどの技術の持ち主で、
作品にはファンもついている。
わたしもその一人だった。
岩井さんが元気なうちに、と
声をかけていただいて始めた竹細工。

 

最近はもんぺの赤木さんですか、

と声を掛けられることが増えて
とっさに鎧をつけて
期待に応えようとしてしまう。

 

この会ではどんなことをして
何を考えているか、
深く詮索をされることはなく、
移住者だからと
色眼鏡でみられることもない。
ただ竹細工をやりたいと思うわたしを
仲間として迎えてくれて
惜しげもなく、技術や愛情を注いでくれる。

 

他産地の作品の写真をタブレットで見せると
4人が同時に話し始めて
長い竹細工談義がはじまる。
その姿がたまらなくいとおしい。

 

 

通い始めてすぐ岩井師匠は

「おまんが一人前になったらやるから
今は貸してやっているんだ」

と照れくさそうに大切な道具のひとつ、
なたを渡してくれた。
次の週はそのなたを
持ち歩くのは危ないからと
お揃いの杉の道具箱まで作ってくれた。

 

 

わたしが休むとおじさまたちはがっかりして
岩井師匠から電話が鳴る。

「竹伐ったから取りにおいで。
布団敷いて待っているから」

下ネタが飛び出すこともしばしば。

 

好きなことでつながっている
確かな関係が心地いい。

 

 

「lineaとむすひ」web
「もんぺ製作所」


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