UFO ー 鶴岡達悦

2002年の夏。近所から新浦安駅方向をのぞむ

 

羯諦羯諦、波羅羯諦、
波羅僧羯諦、菩提薩婆訶。

往ける者よ、往ける者よ、彼岸に往ける者よ、
彼岸に全く往ける者よ、さとりよ、幸あれ。

中村元訳

 

外からの青白い閃光と共に
体を上に引っ張る強い力が働いた。
六畳の真ん中に
二段ベッドを置いて仕切りにして、
窓側が僕で反対が弟の部屋だった。
ベッドは上が僕で下が弟。

 

東京湾の一番奥、浦安、市川、船橋が囲む、
三番瀬と呼ばれている
遠浅の海が窓からは見える。

 

小学校時代から
20代前半まで住んだ浦安は、
江戸川の三角州として
形成された地形を元として、
4分の3を埋め立て地が占めている。
引越して来た時は、
ディズニーランドで知られる
舞浜駅のある京葉線も開通前で、
今は賑わっている新浦安駅前も、
粘土質の空き地だった。
海の方には見渡すかぎりの
原っぱが広がっていて、
狸や、キジ、野犬の群れなんかもいて、
少年には格好の冒険ゾーンだった。

 

ぼくが子供の頃は
UFO特集のテレビ番組がよくやっていた。
怪奇事件を刑事が追う
『x-file』なんてドラマも流行っていた。

 

強烈な光と逆重力を受けて
UFOに連れ去られると思ったぼくは
目を強くつぶり、
必死で般若心経を唱えた。
今では忘れてしまったが、
お寺の運営する幼稚園に行ったので
そらんじることが出来た。

 

生命体が誕生する可能性は
サルが適当にタイピングして、
シェイクスピアの戯曲を
書き上げるぐらいのもんだって
聞いたことがあるが、
宇宙のとてつもない大きさがあれば
この地球以外にも、
生命が誕生する可能性は
大いにあるようだ。※1
しかし、”未知との遭遇”※2の可能性は
万に一つもないらしい。

 

UFOをみた。
お化けをみたという人がいれば、
なんらかの脳神経内の疾患を疑うのが
現代の医学だ。

 

小学校5・6年の時、
授業中に急にぶっ倒れて
市内の大学病院に
精密検査をしに行ったことがあった。
これといった問題はなく、
その後も特にない。

 

怪談の耳なし芳一では、
経文を書き忘れた耳だけ
怨霊に持っていかれてしまう。
UFOにも般若心経は
護符として効いたのか、
なにかとられた自覚症状はない。

 

あるいは、気づかずに
なにかとられてしまっているのかしら。

 


最近海外での人気に火がつき、
先日EUワンマンツアーも成功させた
人間椅子による耳なし芳一

 

※1  https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59513
※2  1977年に公開。スティーブン・スピルバーグ監督作品。地球外生命体とのコンタクトが描かれている)


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