足るを知る ー 赤木美名子 

 

今年豊作のタケノコ。

 

出始めは足裏に感覚を集中して
1日に2度も丁寧に歩いたけれど
数日前から竹藪にさえ入らず、
掘るのは放棄。

 

今、この状況で不安がないのは
このタケノコのおかげでもある。
かまを持って歩けば
足元にはごちそうがたくさん。

 

 

さっそく意中の人に
タケノコを届けに行く。
道中、相手がよろこぶ顔を
想像できることで満たされる。
相手の生存確認をして、
短く優しい言葉の交換を終えた
帰りの助手席には、
50センチ超えの獲れたてヒラメ3匹。
袋いっぱいの甘すぎるスナップエンドウ。
ずっしりと重くみずみずしい
春キャベツの日も。
我が家にはないものとトレード、
物々交換が行われる。

 

 

そう、お金を使わないと
人間関係が必然的に生じるのだ。
田舎暮らしの大きな醍醐味。
相手の欲しいものと
自分が差し出せるものを交換できたら
そこにお金は必要ない。

 

春はタケノコをはじめとする山菜
夏は自家栽培の野菜や野生のミョウガ
秋は自分たちが育てたお米
冬は毎年漬ける粕漬大根
毎年、これらと物々交換したい
意中の人が増える。
理想的とされている右肩上がり。

 

お金の先に何を得られるか想像もせず
お金を集めることだけに
必死だった東京に住む自分だったら
今の状況は不安で仕方なかったと思う。

 

『足るを知る』

という言葉が、ここで暮らす今の自分には
わかるようになった。

 

今だからこそ
自分が生めるものや得意なことを
もう一度見つめ直して
書き出してみようと思う。
誰と交換すればおもしろいかを
推し量るスキルを磨きたい。

 

さあ、コラムも書いたことだし
午後は竹藪に入って
タケノコパトロールをしよう。

 

 

「lineaとむすひ」web
「もんぺ製作所」


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