自分だけの人生ではないかもしれない/「アス」 ー 大場 綾

 

前回の映画「ビッグ」。

 

主人公ジョッシュ君は
移動遊園地のあやしい占いマシーン
「ゾルダー」にうっかり願い事をして
大人に変えられてしまった。
最後は海辺の遊園地に設置された
ゾルダーを見つけて願い事をやり直す。
ジョーダン・ピール監督の
「アス」は海辺の遊園地が始まりだ。

 

克子さんは前回こう締めくくった。

「やはり、その年齢を
一度だけ生きるというのが
一番いいのかもしれない。
現実ではこれしかできないけれど(笑)」

ほんとにほんとに。
ジョッシュの場合は、1.5回目?
何回目だとしても、人生は常に本人のもの。
「アス」はどうか。

 

サンタクルーズの遊園地で
ミラーハウスに迷い込んだアデレードは
自分とうり二つの少女と遭遇する。
ドッペルゲンガー?
幽霊?
ショックのためか、失語症を患う。

 

話は飛んで現在。
大人になった彼女は既婚者で子供が二人。
失語症は治ってる。
お金持ちになってる。
バカンスはサンタクルーズの
豪勢なビーチハウス。
あれ以来の再訪だ。

 

なんとそこにまた
ドッペルゲンガー? が現れた。
しかも今度は家族全員分。

 

表情がなくて言動にエラー感があって
余計に怖い。
しかもしかも、殺す気満々で襲ってきた。

 

アデレード一家、反撃。
これがクレバーで痛快。
反撃大成功で終われば話はシンプルだけど、
先がある。

 

ミラーハウスの地下で
ドッペルゲンガー「レッド」が語る
荒唐無稽な話を契機に、
あのときの記憶が蘇る。

これは「レッド」の人生のはずだった?
人生を乗っ取ったのは自分の方だった?

 

今自分が享受している平和も富も、
別の誰かの正当な持ち物だったのでは。
「わたし」のではなく、
「わたしたち」のものでは。

 

自分が満ち足りている一方で、
本来の取り分を奪われた誰かが
地下で苦しんでいる。
そうと知ったあとも
平気で生きていけるのか。
自分の現在に大きな問題がないからこそ、
考えないと、と思う。

 

うさぎ…

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」


2020年06月12日 | Posted in 余談Lab, clue topics, 映画に学ぶ, 大場綾 | | No Comments » 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA