ひらめきのタネ ー 浅野理生

 

今回が最終回となるひらめきのタネ。
最後に、私が作る
ドライフルーツの羊羹誕生秘話を
お話します。

 

ドライフルーツの羊羹は、
あるひらめきから生まれました。
それはアーティストである友人から

「パンに合う和菓子作って!」

という今まで考えてもみなかった依頼を
受けたのがきっかけです。

 

パンに合う和の素材は何だろうと考え、
和菓子のルーツである
木の実や果物が思い浮かびました。

 

新しい和菓子を作ろうとか、
羊羹を変えようとか、
そんなふうに思っていたわけではなくて、
パンに合う木の実や果物をたっぷりと使い、
羊羹でつないだ
テリーヌをイメージしました。

 

ドライフルーツを丸ごと入れたのは、
切ったときに黒色の黒糖羊羹の中に
苺の赤色が映え、
胡桃のかたちが雲みたいに浮かび、
無花果が絵画のようで
きれいだろうと想像したからです。

 

更にドライフルーツの
香りづけに使うラム酒は
黒糖と同じサトウキビからできているので
全体を調和させる働きをしてくれます。

 

それぞれの素材がともに
手をつないで美味しくなるようにするのが、
私たち和菓子職人の仕事です。
その想いは拙著
「わがしごと」でも綴っています。

 

 

何故この羊羹を思いついたのか?
20年という経験もそのひとつですが、
最もしっくりくる答えは

「こどもの頃に、
たくさん自然の中で遊んだから」

 

 

幼い頃はよく海に行きました。
歩いて1分とかからないそこは
公園よりも近く、
ホタテ貝をスコップ代わりに
広い砂浜で思いっきり遊びました。
その頃の経験が、自然が、
すべてを教えてくれた気がします。

 

ひらめきは、いつも自分のそばにある。
空に浮かぶ雲のかたちに、
雨のしずくの流れる様に、
花びらの色や香りに、
自然の中に宿る美に、
ひらめきのタネはひそんでいます。
ぜひ見つけてみてください。

 

この一年間、お付き合いくださり、
ありがとうございました。

 


「wagashi asobi」Web


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