自然や作物と向き合う生活 /「リトル・フォレスト 夏/秋・冬/春」ー 中村克子

 

大場 綾さんが紹介していた
「家族ゲーム」の横並びの食卓シーンは
本当に印象的だ。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの
「最後の晩餐」の構図と一緒というのも
なるほど! と思う。
この絵では、十二使徒の一人が
イエスを裏切ると告知した時の
みんなの驚きが表現されているそうだ。
絵から不穏な空気が流れている。

横並び=お互い向き合っていない。

これだけで、映画の中で
微妙な空気が流れているのが
わかるというのがすごい。

 

いろんな映画でよく食卓シーンが登場する。
ここ1年の間で観た映画で、
とても豊かな食卓シーンだと思ったのが
「リトル・フォレスト 夏/秋」と
続編の「リトル・フォレスト 冬/春」だ。

 

東北のとある村の
小さな集落・小森の出身で、
自給自足をしながら暮らす主人公のいち子。

 

彼女はかなりの料理上手。
収穫した野菜や米、山から獲ってきた
山菜などを使って料理をする。
パンを焼いたり、ジャムを煮たり、
冬に向けて干し芋や干し柿なども作る。
時には鴨をしめる作業を手伝い、
もらってきた鴨を調理する。

 

登場する食卓シーンは
いち子一人が多いので、
誰かと向き合っているわけではない
(時々、友人のキッコと
食事する場面はあるけれど)。

 

どちらかというと、
食べ物と向き合っていると言える。
自分で育てた食べ物だから愛おしそうに、
そしておいしそうに食べている。
“ 至福の時 ” といった感じだ。

 

料理を作るシーンも
とても丁寧に描かれている。
作っている時も食材に真摯に向き合い、
おいしく料理するには
どうしたらいいかということに真剣だ。

 

彼女の料理上手なところは、
母親ゆずりのようだ。
母親はいち子が高校生の時に突然、
家を出て行った。
理由は描かれていない。
ちょっと変わった母親のようだ。

 

以前、
いち子は東京で暮らしたことがあるが、
人間関係などうまくなじめずに
実家に戻ってきた。

 

「他人と向き合っていない」
「都会から逃げてきた」

などと友人のキッコや
ユウ太から責められる場面がある。
いち子もそのことは気になっている。

 

でも観ている側の感想は、
そんな時もあるよねーと思う。
向き合いたいと思う時が来るまで、
そのままでいいのでは !?
その代わりに山奥の自然や田畑、
作物と真剣に向き合っている。

 

自然は大きな恵みを与えてくれるが、
天候やその時々の状況で
作物は順調に育たないことが多い。
それでも、いち子は一人で
黙々と作業をこなす。
こんな風に自給自足の生活ができたら
理想的かもしれない。

 

ドキュメンタリーのようなフィクション。
心が洗われるような映画だ。

 

 

http://www.aotoyorunosora.com


2020年07月29日 | Posted in 余談Lab, 映画に学ぶ, 中村克子 | | No Comments » 

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