絵本の読みくらべ ー 檜垣裕美

 

最近、絵本を読むときに
新しい楽しみができた。
原作と翻訳本の読みくらべだ。
絵本翻訳の勉強になるが、
それだけではない楽しさがあるように思う。

 

金額的には少し割高になるが、
最近では原文と翻訳併記の
バイリンガルの絵本も
少しずつ増えているような気がする。

 

確かに原作を読むと
作者のメッセージがダイレクトに
伝わってくる感じがしていいのだが、
翻訳ならではの工夫をみるのもおもしろい。

 

たとえば、トミー・ウンゲラーの
『すてきな三にんぐみ』を
講談のリズムで翻訳した今江さん、
エドワード・ゴーリーの『うろんな客』を
短歌形式で翻訳した柴田元幸さん、
ヨシタケ・シンスケさんの
『りんごかもしれない』に出てくる
りんごの兄弟
「あんご」「いんご」「うんご」のような
訳しにくいものを工夫して
英語に訳された翻訳者の方の翻訳など…。
挙げていくときりがない。

 

翻訳者の方たちの
いろいろな工夫をみていると
絵本の翻訳は演出に似ているという
気すらしてくる。
原作と翻訳本を読みくらべれば、
翻訳出版されてから
何十年も読み継がれている本にだって
いろいろと発見があるかもしれない。

 

いままでは翻訳絵本といえば
外国語から日本語に翻訳されるのが
大半だったが、
最近少しずつではあるが
日本の絵本も外国語に
翻訳されてきているのもうれしい。

 

わたしは友人に
本を贈ることがすきなのだが、
外国人の友人に日本の絵本の翻訳本を
贈ったりできるからである。
東京・上野にある
国際子ども図書館に行くと
日本の絵本の複数の外国語版も
置かれていてわくわくする。

 

絵本の翻訳の勉強をしていると、
翻訳のなかでも絵本の翻訳は
特殊でアートに近いものだなと思う。
それからリズムが
とても大切なのもわかる。

 

他の本と違って目で読むだけではなく
読み聞かせてもらうのを
耳で聴くことが多いジャンルの
本だからなのだろう。

 

今年も絵本の翻訳コンテスト参加者の
募集がはじまった。
絵本の翻訳に関しては
自分はまだまだという気持ちが強いのだが、
絵本を翻訳することは楽しいので
今年も凝りもせず
挑戦してみようと思っている。

 

ヨシタケ・シンスケさんの
『りんごかもしれない』とその英語版

 

レオ・レオーニの『スイミー』の原文と
翻訳併記のバイリンガル絵本

 


檜垣裕美Instagram


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