旅の友はママが好きだった作家の本/「わたしに会うまでの1600キロ」ー 大場 綾  

「365日のシンプルライフ」、
いきなりマッパで
通りを走り抜けていて唖然。
しかも冬。
極端だのー。
若さ〜。

 

「わたしに会うまでの1600キロ」も
極端だ。
主人公シェリル26歳が
破滅的な生活から一転、
アメリカ西部を縦断する
超ロングトレイルに挑戦する。

 

冒頭、雄大な山並みを背景に
崖の上で一人しゃがみこむシェリル。
痛みに喘ぎながら靴を脱ぐと
足は靴擦れで血まみれ。
取れかけた親指の爪を
思い切ってむしり取る。
痛みでよろけた拍子に手が弾いた靴が、
千尋の谷底へ落下していく。
やけくそになり履いていた
もう片方も投げ捨てる。
人里離れた山の中で
必需品中の必需品を失うところから
物語が始まる。

 

「365日」では倉庫から
毎日一つ持って帰るルールだった。
最初のうちは迷いながら選ぶが、
行かない日も増えてくる。
せいぜい50~60個のものがあれば
生活には十分らしい。
楽しみの分を含めても100個前後。

 

テント旅のアイテム数も、
その範囲内に収まるだろう。
アウトドア経験のないシェリルは
手当たり次第に詰め込んで
大変な大荷物になっていた。
途中の山小屋で知り合った
親切なおじさんが不要品を選別してくれる。
消臭剤やノコギリや双眼鏡が弾かれる中、
分厚い重そうなペーパーバックを
「それはダメ」とシェリル。
夜のテントの中で何度となく開くその本は、
亡くした母が好きだった作家の作品だ。

 

トレイル上にはレジスターと呼ばれる
ポストが点在していて、
旅人はその中に置かれた
ノートに名前などを書きこむ。
シェリルは自分の名前と共に
さまざまな詩人の名前と
言葉を書き残していく。

 

登場人物が詩の一節を引用するシーンが
アメリカ映画を観てると結構ある。
詩がとても身近にある国で、
詩人の朗読会も盛んなのだと何かで読んだ。
日本はどうだろう。
「ぢっと手を見る」とか
「アメニモマケズ」とかは身近だ。
意外にも文学についても
思いを馳せることになった映画だった。

 


とはいえ旅終盤の荷物もなかなか多い

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」


2020年09月14日 | Posted in 余談Lab, 映画に学ぶ, 大場綾 | | No Comments » 

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