書かれた言葉の後ろにーある作業から ー nashinoki

 

時々近しい人から、
文章を見てほしいと
言われることがあります。

 

それほど書くことに慣れていないけれど、
誰かの目の前で見せたり
話したりする必要のある人で、
それを直して、
他の人により伝わりやすいものにする、
そういう作業の手伝いです。

 

渡された言葉を読むとき、
書かれている文字だけを追っていると、

なんだかまとまっていないなとか、
繰り返しが多いな、
何が言いたいのかわかりづらいな、

と思うことがあります。

 

でもそんな風に考えてから、
少し冷静になって、
もっと深く、
それを読んでみようと思います。

 

誰かが自分の意思で発する言葉には、
それがどのようなものであれ、
外に現されたという事実がある。
そこには少なくとも、
そうするだけの気持ち、
何らかの意味が込められている。
こちらがすぐに
その意図を理解できなくても、
そこへ耳を傾けよう。
いつからか、
そう思うようになりました。

 

文字の下の世界に潜るように、
深い水脈を探るように言葉を読むと、
不意に、
さっきまで気づかなかったものが
見えてきます。

 

その人が表そうとしたもの、
その人が伝えようとする
一つの世界。
そこから発せられる熱のようなもの。

 

それに触れ、
僕は驚き、興奮して、
この世界の広さ、自分の外に
まったく知らない世界が深く穿たれ
広がっていたことを感じます。
それに触れられてよかった。
そう思います。

 

その世界は、
僕が放たれた言葉への信頼を
手放していたら、
出会えなかったものでした。

 

MAGAZINE 「TOTTO


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