段取りをこなすのと悲しむのと両方やる/「お葬式」 ー 大場 綾

はちどり」で、
名前のつけられない感情をたくさん孕んで
すべて持て余している主人公ウニ。
克子さんが言うように、
観ているうちに胸がいっぱいになる。
主人公はウニだけど、
男が泣く二つのシーンが忘れがたい。

 

無関心に思えた父親が
ウニと一緒に病院に行ったとき。
お兄ちゃんが、自分が暴力を振るっていた
妹(ウニの姉)の無事を知ったあと
食卓で泣き崩れたとき。
二人も柔らかな心を
持て余していたようにも見えて。
この涙は希望に似た何かだった。

 

映画で涙が流れるのは大抵別れの場面。
別れの最たるものといえば死。
その儀式がお葬式。
ずいぶん強引に繋げたが
その名も「お葬式」という映画がある。
伊丹十三の処女作。
妻・宮本信子さんの父上の葬儀で
喪主を務めた経験が元になっているそうだ。

 

結婚式は綿密な打ち合わせを重ねて
万全で臨むのに、同じぐらい
人生の一大事であるお葬式は
基本ぶっつけ本番だ。

 

加えてこの話の父上は急逝、
娘夫妻は東京在住で葬儀は伊豆。
豪雨の中を夜討ち朝駆けし、
遺体に対面して悲しむのもつかの間、
豪雨の中遺体を家まで運ぶミッション勃発。
家に帰るまでが遠足、逝去してからが葬い。
お葬式はもう始まっている。
一連がコントのように進む。

 

私事だが2週間前に父を見送った。
我が家も、妻である母ではなく
子供たち3きょうだいが
チームでジタバタとお葬式を乗り切った。
なので前半は「そうだったそうだった!」が
止まらない。
お布施の額はふんわりしてるし。
葬儀屋に言われるままに
饅頭(うちは団子とご飯)用意したし。

 

そんな中でも不意に悲しみが
差し込んでくる瞬間があったし。
主人公が見る
冠婚葬祭マニュアルビデオの、
故人役の役者さんの名字が
我が家と同じだったので、
ちょっと縁を感じたりもした。

 

そしてマニュアルよりも
断然この映画は参考になると思う。
葬儀最後のシーンでの
おばあちゃんの挨拶は、
用意されたものではないからこそ
心に響くのだろう。

 

北枕に固執する故人の兄。
大滝秀治が最高(にマイペース)

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」


2020年11月12日 | Posted in 余談Lab, 映画に学ぶ, 大場綾 | | No Comments » 

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