街が均質化する話し ー 石黒隆康

 

私の事務所は横浜の桜木町にあります。
JR根岸線の線路を境に
海側は「みなとみらい」地区で
近代的な高層ビルが建ち並びます。
反対の山側は
「野毛」「日ノ出町」と呼ばれる
古くからの飲み屋街があります。

 

 

「野毛」は戦後「闇市」などで賑わい、
今では600店とも言われる飲食街の街です。
賃料が安いらしく、
個人商店が多いのが特徴で、
中年のおじさんだけで無く、
若者や女性にも人気だそうです。
風変わりなお店も多いので、
探検すると楽しい場所です。

 

 

ところが、最近、小さなお店が撤退し、
チェーン店が目立ってきました。
人気が出ると賃料が上がり、
家賃が払えなくなり小さなお店は閉めて、
替わりにチェーン店が入ってくるんだそう。

 

チェーン店はどこに行っても
安心クオリティで、
美味しいものが間違いなく食べられます。
そう、野毛でも横浜でも、東京でも、
仙台でも、札幌でも……沖縄でも。
せっかく特徴ある街が出来て来ても、
こうしてどこもかしこも
同じ看板が並んでしまいます。

 

電車も、終着駅がなくなって、
相互乗り入れでどんどんつながっています。
その街、沿線の特徴も無くなって、
コピーされたような
駅前が作られていきます。

 

そんな様子を見ると、
自分の仕事もどうなってしまうんだろうと
考える事があります。
特徴のある設計をして、
面白い家を設計していても、
ある時、平均的で性能の高い家づくりに
取って代わられてしまわないか。

 

それでも、きちんとした
美味しい料理を出すお店は、
元気に生き残っています。
そんな設計者になりたいな……
と思うのでした。

 


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2020年12月30日 | Posted in 余談Lab, ひらめきのタネ, 建築家 石黒隆康 | | No Comments » 

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