「変わってきてはいるはず」 /「ビッグ・アイズ」など ー 大場 綾

 

前回克子さんが紹介してくれた
「天才作家の妻 40年目の真実」。

 

編集長から更新の知らせをもらい、
タイトルを見て、

「ビッグ・アイズ」も同じようなやつ、

と思った。
観ているあいだはノア・バームバックの
「イカとクジラ」を思い出していた。

 

「ビッグ・アイズ」は、
「天才作家の妻」と同じく
才能の持ち主は妻だけど、
夫がそれを自分の作品として発表し
大儲けした画家夫婦の話。

 

「イカとクジラ」は作家夫婦。
かつて高名だった夫は今は落ち目。
逆に妻の方は超順調でブレイク寸前。
そんな状況下の離婚の泥沼を描く。
監督自身の両親の離婚が
元になっているという。

 

3つのどの話も、夫の印象が強烈だ。
がめつい、ずるい、自己中、幼稚。
最終的には孤立して哀れささえ漂う。
妻に対する歪んだ劣等感も一緒。
わざと誇張して描いては
いるんだろうけれど、
どの夫も役者の演技がうまいから
「ウワー…」と引く。

 

「天才作家の妻」と
ティム・バートン監督の
「ビッグ・アイズ」は、
女はとっとと結婚して
家庭で家事・子育てをするものだという
「常識」で社会が覆われていた時代の話
という点も共通している。

 

それぞれのカップルが出会った
1950~60年代のアメリカ。
この「常識」ゆえに彼女たちは
身勝手な夫の言いなりになる以外の道を
選べなかった。
生まれたときからそうだったら、
他のあり方を知らなかったら、
別の(もっと望ましい)方向に気がついて
舵を切ることはものすごく難しいと思う。

 

「イカとクジラ」はたぶん70年代で、
そういう圧は描かれない。
同じ監督の「マリッジ・ストーリー」は
さらに進んでいて、妻は自分の才能を
存分に発揮できる道をのびのびと選ぶ。

 

4本の映画の4つの時代。
変わってきているんだなと感じられる。
これからもそして日本も、
もっといい方に変わって行くといい。
そのために私もできることはしていこう。

 

「ビッグ・アイズ」の裁判シーンは
共感性羞恥をぐいぐいえぐって来るけど、
ウォルターはそれすら軽く超えていくのでご安心…

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」


2021年01月14日 | Posted in 余談Lab, 映画に学ぶ, 大場綾 | | No Comments » 

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