どんな状況でも静かに奮闘する/「マイ・ブックショップ」 ー 中村克子

 

前回の大場 綾さんのコラムを読んで、
どの映画もその時代の流れや
常識とされていることが影響して、人生が
大きく変わっていくことがあると感じた。

 

それぞれの時代や社会の中でもがいたり、
苦しんだりしながら人は生きている。
それは昔も今も同じだ。

 

映画「マイ・ブックショップ」でも、
主人公フローレンスが
自分のやりたいことに
静かに奮闘している。

 

1959年、
イギリスにある海辺の小さな町で、
彼女は戦争で亡くなった夫の夢でもあった
書店を開く。

 

田舎の町には書店が一軒もない。
本来なら書店ができれば
本好きな人たちが集まり、
憩いの場になるはずだが…。

 

町の住人は保守的で、
女性が一人で店を経営することを
歓迎していない。
また町を牛耳っている有力者は、
自分に許可なく古い家を店にしたことを
よく思っていない。
銀行の融資を受けられないようにするなど
色々と画策する。

 

そんな中で味方になってくれたのは
長い間、大邸宅に引きこもっている
本好きな老紳士と、
店の手伝いをすることになった
少女クリスティーン。
クリスティーンは
この物語のキーパーソンと言ってもいい。
ラストシーンで、
ちょっと驚くような行動に出る。

 

老紳士はとても内向的だが、
フローレンスと本を通して
交流を深めていく。
彼の本のリクエストに応えて、
彼女が本を送るシーンは
しみじみといいなと思う。

 

フローレンスはなんとかして
書店を続けていこうと踏ん張る。
でも一人の力では
どうにもならないところがある。

 

最終的に心残りはあったと思うが、
やれることはやったという
気持ちがあったのではないだろうか。
フローレンスの書店への想いは、
少女クリスティーンに
引き継がれていったのが救いだ。

 

ところで、この映画で登場する
書店の佇まいが素晴らしい。
歴史を感じる建物を店にしており、
棚に並んだ本のデザインが美しい。
こんな書店が近所にあったら毎日行きたい。

 

お気に入りの書店で過ごすひとときは
幸せな時間だと思う。

 

 

「青と夜ノ空」web


2021年01月27日 | Posted in 余談Lab, 中村克子 | | No Comments » 

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