朝帰りの道で ー 渡邉知樹

 

先日、朝まで遊んで始発電車で帰宅した時、
その帰り道が
いつもと全然違う風景に
見えたことがあった。

 

豆腐屋の湯気がモクモクと、
空気がしんと澄んで、
空の青も冬そのもの。
光は白く透明。

 

いつも歩いている道が
ちょっとした時間帯や季節の変化で、
全く別の装いを見せる。

 

いつもと違う道を通れば
当たり前に見たことのない家々が並び、
久しぶりに通る道にも、
やはり見たことのない家はある。

 

毎日のように通っている道にだって、
その季節になって初めてそこに
金木犀があることを知るように、
日常にも取り止めもなく気付きはある。

 

帰り道はこの道。
カレーのお皿はこれ。
いつもと同じ美容室で、
いつもと同じ髪型。

 

もしそれがベストだと思っていても、
思いつきで変えてみるのも
いいかもしれない。

 

もしかしたらそこに、思い込みであったり、
以前の自分との変化であったり、
なにかしらの気付きがあるかもしれない。
もしそういう変化を
受け入れられる自分がいたとしたら、
それはきっと有意義なことだろう。

 

 

久しぶりの朝帰りは
それ自体が旅のようだった。

「しばらくは海外旅行に行けないねー」

なんて話すことも増えたけど、帰り道に
眠気と冬の寒さでちぢこまりながら、
いつもの道が
こんなにも違って見えたことは、
同じようにちぢこまった日常への
かすかな希望にも感じられた。

 


ブログ/渡邉知樹のぺぺぺ


2021年02月12日 | Posted in ひらめきのタネ, 絵本作家 渡邉 知樹 | | No Comments » 

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