博物館、ここにあり ー 田本あゆみ

 

フィルムに焼き付いた像が
印画紙にじんわり現れるとき、
板をひっかいた線にのったインクが
紙の上に定着するのを
最初に目にするときに、
わー!と胸がときめきます。

 

20代の一時期、
当時は印刷技術の基本のキも知らないで
写真を撮り版画を刷っていました。

 

先日、東京都文京区にある
印刷博物館の常設展を観てきました。
入ってすぐのイントロ部、
展示はラスコーの洞窟壁画の
レプリカから始まります。

 

ざっくりいうと印刷は、
手で書き写す作業がスタンプ化され、
写真が応用されて、
デジタル機器が導入されていきます。

 

かつての技術では、
失敗できない版をカリカリ削ったり
小さな活字を扱っていたと考えると、
昔は一冊の本を作るのに
もっともっと労力と時間が
かかっていたことがわかります。

 

ただ、昔とはいっても
『銀河鉄道の夜』ではジョバンニが
活字拾いのバイトをしているし、
映画『コクリコ坂から』では
ガリ版で学校新聞を刷ってるし、
今のようなデジタル印刷が主流になったのは
歴史的にみればつい最近のことです。

 

さらにわたしの親がワープロを買ったのや、
コンビニにコピー機が
設置されたのは1990年代。
いまやパソコンとプリンターがあれば
誰でも文章や絵を簡単に複製できますが、
それもここ数十年のことだというのは
ちょっと驚きです。

 

せっせと手を動かして工夫を重ねることで、
印刷技術の「はやい・うまい・やすい」を
発展させてきたことを知り、
先人が続けてきた創意工夫や、
多くのひとに何かを伝えたいという気持ちに
圧倒されてしまいました。

 

帰る道すがらに
早くもまた行こうと思うほどの
展示のボリュームで、
その専門の知識の結集を、
いつも一般の人に向けて開いている
博物館ってすごいなあと思いました。

 

博物館入り口にあるオブジェ。
上についてるのは「見」の象形文字で、
大きな目がついた人のかたちをしている

 


2021年05月10日 | Posted in 余談Lab, ひらめきのタネ, 校正者 田本 あゆみ | | No Comments » 

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