いやもしかしたら吊り橋効果 /「なんちゃって家族」 ー 大場 綾

 

少し前に続けて観た数本のDVDで
毎回「最初の晩餐」の予告編が流れた。
毎回役者の演技に見入った。

 

本編は更に見入った。
子役も含めて、目や指先、
髪一本までの繊細な動きとことばに
目が離せない。

 

清い映画でもあった。
登場人物がみんな清い。誠実。
ひるがえって、清さは残酷とも言える。
そしてその残酷ささえも
我が身に引き受けた
斉藤由貴の演じる母に凄味があった。

 

アメリカ映画「なんちゃって家族」は、
真逆の下品で騒々しい映画だ。

 

主人公は定職につかず
大学時代からずるずる麻薬の売人を続けて
中年になったデヴィッド。

 

売上金と商品のクサを
全部チンピラに巻き上げられ、
落とし前としてメキシコから
麻薬を運んでくる仕事を
ボスから命じられる。

 

用意されたのは巨大なキャンピングカー。
これに男一人では怪しさしかない。
そこで手近の3人をスカウト。

 

デヴィッドと同じアパートに住む、
すれっからしたストリッパーのローズ。
やはり同じアパートの、絵にかいたような
アメリカのボンクラ男子学生ケニー
(劣化版タンタンっぽさ)。
自販機を壊して中の小銭を奪うなんて
朝飯前のホームレス少女ケイシー。
4人で陽気なキャンパー一家に偽装して
国境を超えるのだ。

 

まず、自分がもらう予定の報酬の
ほんの一部でローズとケイシーを釣る。
ケニーは報酬のほの字もなく強制参加。

 

展開としては予想通りだ。
抱腹絶倒、ピンチ連発のドタバタ道中。

 

「最初の晩餐」の東家は、
5人が家族になる道を
模索していく様子がいじらしかった。

 

「なんちゃって家族」のミラー家(虚)は
ボスに麻薬を届けたら
速攻で解散する予定。
利害が一致してただけ。
なのにいつの間にか
心がしっかり通じ合っている。

 

東家もミラー家も、
一緒にいる人を大事にすることにおいて、
至った境地は同じだな。
と、強引だが思った。
家族であることの前提を
そういうところに置きたいな、とも。

 

面白くて悪いやつ、ボス

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」


2021年06月15日 | Posted in 余談Lab, 大場綾 | | No Comments » 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA