人に必要とされる生き方 /「ヤコブへの手紙」 ー 中村克子

 

前回、紹介の「なんちゃって家族」は
アメリカ映画らしく、
ドタバタで笑えるコメディー作品。

 

大場 綾さんが書いていたように
“ 騒々しい映画 ” の代表みたいだが、
偽の家族を描きながら本当の家族とは何か、
そんなメッッセージが入った
意外と深い物語 !? とも思う。

 

ちなみに、
母親役のジェニファー・アニストン
(テレビドラマ「フレンズ」でおなじみの)は
やっぱりコメディーが
似合う俳優だなと思う。

 

この “ 騒々しい映画 ” とは真逆の
“ とても静かな映画 ” として
思い浮かんだのが
フィンランド映画「ヤコブへの手紙」。

 

主な登場人物はヤコブ牧師とレイラ、
郵便配達員の3人のみ。
フィンランドの田舎が舞台で、
風景が美しいのも見どころだ。

 

終身刑で12年間、
服役していたレイラは突然、
恩赦を受けて釈放される。

 

身を寄せることになったのは
盲目のヤコブ牧師の家。
毎日、郵便配達員が届ける悩み相談の手紙を
ヤコブ牧師に音読して、
返事を代筆するのがレイラの仕事だ。

 

ヤコブ牧師は人のために祈るのが
自分の使命と思っていて、
毎日届く手紙が生きがいとなっている。
一方、レイラは全くやる気なし。
無愛想で、ヤコブ牧師に
反抗的な態度をとっている。

 

彼女にとって、
悩み相談の内容は退屈なものばかり。
届いた手紙の一部をこっそり捨てたり、
返事を書くのが面倒で

「差出人の名前がない」

と嘘を言ったりする。

 

でもヤコブ牧師はその嘘をすぐに見抜き、
誰からの手紙だと言い当てる。
なぜなら

「何度も同じ内容を
送ってくる人がいるからだ」

と言う。
この “何度も同じ内容を送ってくる人がいる”
というのが重要なポイントの一つ。

 

作品の後半まで、
レイラのダメな部分や
心を閉ざしている様子が描かれている。
もし彼女のような人が身近にいたら、
仲良くなりたいと思わないかもしれない…。

 

そんな中で、
ある日を境に手紙が一通も届かなくなる。
ヤコブ牧師は、自分はもう
必要とされなくなったのかと意気消沈。
どんどん衰弱していく様子が痛々しい。

 

レイラの方は元気をなくした
ヤコブ牧師を放って出て行こうとするが、
自分には行く場所がないことに
改めて気づく。
このあたりからレイラの変化が見えてくる。

 

ヤコブ牧師のために、
レイラも郵便配達人も
手紙が届いたという芝居をする。
そして、最終的にレイラは
なぜ刑務所に入ることになったのか、
自分の身の上話を始める。

 

ヤコブ牧師、レイラ、
そして郵便配達員も
誰かの役に立っていると感じることが
生きる意欲につながっていたと思う。

 

人間は自分のためより
他の人のために行動する方が、
力が湧いてくるのかもしれない。

 

 

「青と夜ノ空」web


2021年06月29日 | Posted in 余談Lab, 映画に学ぶ, 中村克子 | | No Comments » 

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